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終わりに

私が初めて積み重ねられたガラスと出会うのは記憶にある限り今から45年ほど前、ガラス工事業を営む父の仕事場である。板ガラスを立てかける「馬」と呼ばれるパーテーションのようなものに左右それぞれ50枚程度のガラスが重ね置かれていた。幼い頃私は、その側面、小口から向こうの景色をまるで万華鏡でも見るように飽きずにずっと見ていた。そしてよく父親に「仕事場に入るな」と叱られていた事を記憶している。

そのような深層心理にある数々の体験が現在の私を突き動かし、その記憶の断片をたどることが作品作りの根幹を成していることを強く感じるのである。

各地の工芸家を訪れたとき、その作品が作家の住まう「土地」に大きく影響されていることがわかる。作品そのものは作家の持つ環境の必然性から生まれ、その中に身を浸すことにより高度な作品へと昇華していく。

私は神戸に生まれ50年の歳月を重ねている。生まれた「土地」そして現在置かれている様々な環境を時には否定し、あるいはその必然性を素直に受け入れながら素材と向き合い「手」が動くのを待つ。人々との出会い、そして環境がどのように作品に影響し、どう変貌していくのか自ら期待するものである。


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