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4 学科ウェブサイトを用いた環境・建築デザイン教育の実践

4−1 「学科総合プロジェクト」という授業科目

身の回りの環境に関心を持つことは、環境デザインを学ぶ学生にとって大切なことであり、それはネット上に広がる世界も例外ではない。学生たちの活動をインターネット上に広げることは、キャンパス内外の人々との交流を促進するうえで有効であり、そのような関係性の中で学生たちは情報社会における自分たちのアイデンティティを確立していくだろうと考えた。

そこで、学科では、新たに「“学生特派員”による学科サイト運営の試み」という学科総合プロジェクトの授業科目を設置した。これは、関心を持ってくれた学生が、責任を持って継続的にウェブサイト運営に関わってもらうための仕掛けでもある。そして、この科目を履修した学生を“学生特派員”と名付けた。学生特派員は、1)定期的に“特派員だより”を更新すること、2)学科サイト運営に関する打合せやレクチャーなどに出席すること、の2つが単位取得の条件となっており、成果が認められた場合に所定の単位が修得できる。

“学生特派員”と名付けた理由は、立場を明確化することにより、学生特派員が自由に学科内を動き回ってレポートしやすい環境をつくるためである。近頃は、学生間で発信したい情報があれば特派員に依頼するなど、特派員の認知度が高まってきたように思われる。

授業科目ということもあり、定期的に打ち合わせの場を設けて、著作権や適切なデータサイズといった最低限の「情報リテラシー」や、不特定多数に向けて情報発信をするときの注意すべき点や分かりやすく人に伝える工夫、ウェブ運営に関して知っておいた方がいいこと(ウェブサイトの基本構造、簡単なソースの読み方やスタイルシートのこと、アクセス解析の方法など)などを伝えるようにしている。

4−2 学生参加型のコンテンツづくり

学生特派員には、常に「学科をどうアピールするか?」「学科ウェブサイトに関心を持ってもらうにはどうすればいいか?」などの運営側の視点を伝え、目的を共有するようにしている。学科のウェブサイトではなく、自分たちのウェブサイトである、という感覚で愛着を持って盛り上げていってほしいと考えている。そこで、デザインやコンテンツなどの検討するときには、その情報をオープンにし、適宜学生の意見を取り入れながら作業を進めていった。このように構築段階から学生が関わり、学生ならではのアイディアを盛り込んだことによって、より学科らしい雰囲気が出ているのではないかと思われる。以下、学生と一緒に考えたコンテンツの一例を紹介する。

■特派員だよりの「カテゴリ」

学生特派員が記事を更新していく「特派員だより」に、どのようなカテゴリがあったらよいのか、学生たちが書きたいと思っている記事の内容から決定していった。その結果、現在は次のようなカテゴリを設けている。

*実習・講義:実習や講義などのレポート

*日々の学科:学科の日常風景をレポート

*学外活動:学生たちが学外で活動している様子をレポート

*ひとルポ:教職員や先輩、後輩、気になる人へのインタビュー記事

*まちルポ:様々な場所に出かけたときに、その場所をレポート

*つぶやき:どのカテゴリにも当てはまらない個人的な記事。

■特派員紹介ページ

「学生特派員紹介(例:2009年度特派員)」は、環境・建築デザイン学科らしい紹介方法を考え、そのデザインも一緒に検討し(図7)、マウスを上に重ねると画像が変わるなどの工夫をおこなった。さらに、「自分を建築グッズに例えると」、という項目では、45度カッター(使いようはあるが何かいまひとつな感じ)、自在定規(芯はあるけどゆるいです)、トレーシングペーパー(頭の中と似ているから)など、学生の個性あふれる回答を盛り込んだ。

図8:学生特派員紹介ページ

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図8:学生特派員紹介ページ

■学生特派員紹介の内容

*名前(ローマ字で読み)

*自分の体の一部の写真・・・マウスを上に持ってくると一言コメント付きの画像に変わる。

*一言コメント:特派員への意気込みなど何でも。

*出身:出身地でも出身校でも実家でもどこでもいいので、自身が出身だと思う場所。

*建築グッズに例えると:自分自身を建築グッズに例える。マウスをのせると、“その心が”わかる。

*私の四字熟語:何でもいいので好きな四字熟語。

4−3 学生特派員による「特派員だより」

学生特派員が日常的に更新するのは、「特派員だより」である。当初は、かつての学科ブログのイメージに引きずられているような記事も多かったが、徐々にタイトルや記事の書き方を工夫したり、場所を示すのにGoogleマップを貼り付けたり、YouTubeにあげた動画を配信したりするなどに表現方法にも工夫が見られるようになってきた。学生ならではの視点で書かれた記事は、日々新鮮でネタがつきない。ここでは、特徴的な記事を幾つか紹介する。

■卒業制作の様子

後輩の目線から、卒業制作に追われる4年生の切迫した様子や、卒展の風景、などをレポートしている。

*「卒業設計いよいよ大詰め!!

*「スタジオ日和。

*「卒業展示までのちょっとした雰囲気を拝見しよう

*「卒展カオスの様子を動画でレポート!!

■インタビュー記事

卒業制作展の会場での受賞した先輩へのインタビューや、トークセッションで建築家と話をしていた同級生に話の内容を聞いてみたもの、教授にインタビューしてみたものなど。

*「卒業展示インタビュー

*「花田佳明 教授に突撃インタビュー

*「まるパンと中山英之と山田

■実習の様子

自らが進めている課題や後輩の実習の様子などをレポートしたもの。

*「1回生ブースがワイワイしています。

*「今、2回生が苦戦しているもの。

*「08E最終講評会にお邪魔しました

■学外活動の様子

旅行などに行った報告や、自身が関わっているプロジェクトなどの紹介記事。

*「それいけ!獣害レンジャー!!

*「三徳山投入堂。(Sorrete OSAKA?)

*「diploma×Kyoto'10 SPIN OFF 報告

*「建築×合宿に参加してきました

4−4 今後の展望

学生特派員も2年目に入り、参加学生の数も増えつつある。「特派員だより」も、平均すると週に2回程度更新されるようになり、読み応えのあるコンテンツに育ってきた。また、学生特派員は半永久的に特派員、ということで卒業後も更新可能な「卒業生」枠を設けたため、卒業後の様子をレポートした記事が投稿されるなどの広がりも出てきている。いずれは、この学生特派員によるサイト運営が、授業とは関係なくサークル活動のように先輩から後輩へと引き継がれ、学生主体の自立的な活動へと成長していくことを期待している。

    

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