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3−2 平成19年度の取り組み

播州織工房館については、内装工事完了後、さらに吊布などのインスタレーションを施し、ファッション学科の学生が協力して立ち上げた産学連携ブランド「n+able」の販売ブースの他、播州織を中心とした製品の展示販売を行う地元事業者4組の出店を得て、平成19年6月30日に開館を迎えた(写真32)。

写真32 開館後の様子

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写真32 開館後の様子

歴史的まちなみが残る西脇中心市街地活性化のためのもうひとつの拠点として、やはり既存の建物を改修して開設したのが、若手のファッションデザイナー玉木新雌のためのブランドショップである。玉木新雌は、西脇で開発されたアレンジワインダーと呼ばれる技術に着目し、ファッションにおける播州織の新しい可能性を追求しているデザイナーで、その活動拠点をここに置くことは、地場産業に刺激を与える上でも重要な役割を果たすであろうと期待される。

改装案の作成にあたって、デザイナー側からは以下のような項目がテーマとして示された。

(1) まちを散策する人が気軽に立ち寄れる場所とする。

(2) 「和」+「modern」をコンセプトに、白と黒を基調としたデザインとする。

(3) トレンド性をアピールできる外観とする。

改修対象となったのは「西脇家政高等専修学校」の別棟で、かつては制作室や調理室として利用されていた建物である(写真33)。改修前の時点では、学校としての利用はされておらず、瓦屋根の一部を透明波板に張り替えた温室に改装されていた。付近には「旧来住家住宅」につながる「ふれ逢い鯉ロード」と名付けられた道路の脇に疎水が流れており、ここを人々が訪れることのできる施設に生まれ変わらせることは、歴史的なまちなみを残すこの地域の中に、新たな散策ポイントが生まれることにもなる。

当初はこの建物は産学連携プロジェクトの一環として、学生たちがデザインしたシャツの展示販売スペースにすることが想定されていたが、平成19年の後半になって急遽プロのデザイナーのためのブランドショップとすることが決定されたため、デザインは平成20年1月〜2月の短期間で行った(写真34)(写真35)。

写真33 改装前の様子

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写真33 改装前の様子

写真34 スタディ模型

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写真34 スタディ模型

写真35 デザイン検討時の打合せ

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写真35 デザイン検討時の打合せ


施工は地元の工務店と職人の方々の協力を得て、年度末の3月に集中的に行なった。外構計画に関しては、ショップの入口をあえて道路から離れた位置に設け、隣接する建物との間にしつらえた露地的な空間を奥へ進むアプローチとした(写真36)。ショップの内部は、寄棟屋根の構造体をあらわにしたワンルームで、その中央に斜めに振ったキュービックな空間装置を配している。この空間装置は、黒い琉球畳を敷き詰めた水平面と、黒白に塗り込められた直方体との組み合わせでできている。直方体の中には、奥(道路と反対側)の方にストックルームとレジ台およびトイレを組み込み、反対側の琉球畳の水平面と直方体とが重なり合う部分は、天井の無い試着スペースとしている(写真37)。試着スペースには、畳敷の部分あるいは側面から、茶室のにじり口と同じ要領で、頭を下げて入る。直方体と畳面とが噛み合う部分の開口部は、直方体内部に組み込まれた障子を降ろして閉じることができるようになっている。

写真36 入口露地

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写真36 入口露地

写真37 試着スペース

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写真37 試着スペース


写真38 円形坪庭

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写真38 円形坪庭

写真39 内部のディスプレイ

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写真39 内部のディスプレイ


畳の上に座って道路側を見ると、左手には床スラブを円形にくり抜いて砂利を敷き詰めた「坪庭」があり(写真38)(写真39)、右手に目を向けると、丸窓が組み込まれた跳ね上げ戸がある。陽気の良い日にこの跳ね上げ戸を開くと、室内に立ち並ぶマネキンの向こう側に通りを望むことができ、そこを行き交う人々と挨拶を交わすこともできる(写真40)(図2)(写真41)。

写真40 ショップ外観

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写真40 ショップ外観

図2 ショップ平面図

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図2 ショップ平面図

写真41 疎水からショップを望む

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写真41 疎水からショップを望む


    

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