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2−3 平成20年度の取り組み

19年度の活動を終え、播州織工房館の来館者の減少だけでなく、「n+able」の商品の売り上げが低迷しているところから、これまでの商品企画の内容を再検討し、今後の活動方針を下記のように大きく変更した。

(1) 若者に向けた商品構成から、中高年も含めた商品構成にシフトする。

(2) 播州織の特徴を引き出したシャツ以外の新たな商品を模索する。

(3) 新たに開発した商品やその開発ストーリーも含め、播州織と播州織工房館の話題を作り広報活動に力を入れる。

(4) 工房館が播州織をキーワードにした、住民や観光客のコミュニティの場になるような働きかけをする。

工房館への来館者の年齢構成を考慮して、これまでの若者に向けた商品構成に、中高年に向けたシャツや作務衣などの商品を加えた。近隣地域からの散策や、姫路や神戸などから北播磨地域へ観光で訪れる来館者が目立つようになったことから、気軽に商品を手に取り、播州織の魅力を知ってもらえるようなバッグや小物類の商品作りを始めた。また、播州織の可能性を広げることを目的にして、シャツ以外の新たな商品の開発を模索した。地元の企業が作ったこれまでにない播州織を探し出し、「トートバッグ」、「ジーンズ」、「作務衣」などのこれまでにない商品の企画をした。

これらの商品には播州織ならではの「ストーリー」や企画開発した「メッセージ」があるところから、それぞれに「播州トート」、「播州ジーンズ」、「播州作務衣」等、「播州」を頭に付け、播州織の独自の商品であることを印象づけた。また、それらのDMを作り、近隣の「旧来住家住宅」や「デザイナーズショップ」などの関連施設や道の駅「田園空間」などの公共施設に置いた。そのことで、それらの施設から周遊してくる来館者が増えた。「播州ジーンズ」や「播州トートバッグ」などは播州の独自性の高い商品であるところから、地元の地方紙だけでなく、NHKや朝日新聞、日経新聞などのメディアにも取り上げられ、大阪や京都などから「播州ジーンズ」を購入するために来館される方も現れるなど、来館者は増加した。

空いているブースを使い工房館内にコーヒーなどが飲めるプチカフェを作った。近隣の播州織の関連業者の方がくつろぐ場所として使ったり、観光客が休憩する場所として使うなど、来館者の滞留時間が増え、ショップの販売担当との交流も生まれた。また、「工房館のバーゲンセール」を開催したり、「ルート427の日 北はりまロードフェア」の餅つきイベントの会場になったり、近隣の商店街の主催で「播州織寄席」(*2)の会場に活用してもらうなど、近隣住民や観光客のコミュニティの場として容易に立ち寄れる場所になるような働きかけを行った。

これまで、工房館ではアルバイトの学生に販売を頼っていたため、週末の3日間しかオープンできなかったが、専門の販売スタッフを常勤させ、月曜を定休日として毎日オープンさせることができるようになった。

平成20年度の西脇プロジェクトには、ファッションデザイン学科3年6名、2年1名の他、本学の卒業生も参加して商品の企画・生産を行った(写真11)。以下は新たに加えた3商品である。

写真11 プロジェクトのミーティング

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写真11 プロジェクトのミーティング

(1)播州作務衣(写真12):

特に中高年齢者を対象として新しく開発したものが「播州作務衣」であり、夏には甚平も開発した。産元商社が作る民芸調の「播州木綿」や播州織工業協同組合が作っていた「播州やたら」の布地を活かして開発したものである。「播州木綿」は、縦糸と経糸の張力差を利用して凹凸がでる「ちぢみ」に仕上げた「しじら織」を播州で織ったもので、絣織や抜染を施したものもある。「播州やたら」は、織工場で捨てていた「くず糸」を繋ぎ合わせて織物にしたもので、糸は色だけでなく、太さも揃っていないため、不規則な縞柄が特徴で手織り感覚を持つ布である。どちらも布の腰が有り、肌触りも良く、着物風な味わいがあり、「播州作務衣」とネイミングした。

写真12 「播州作務衣」

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写真12 「播州作務衣」

(2)播州帆布、播州トートバッグ:

播州織の産元商社がシャツ地を織る技術で織り上げたオックスフォード織の帆布に注目し、トートバッグを企画した。この帆布は、オックスフォード織の特性である吸水性と帆布の持つ丈夫さを兼ね備えた先染織物の播州織独自の帆布である。日本の帆布の発祥の地が播州の高砂であり(*3)、その帆布を同じ播州の地で復活させたところから「播州帆布」とネイミングした。春夏ものの企画として先染織物の特徴であるマルチカラーのストライプ柄の帆布を用いてトートバッグを作り、「播州トートバッグ」とネイミングした(写真13)。秋冬企画にはピンストライプの帆布を用いてトートバッグの生産を行った(写真14)。「播州トートバッグ」は、播州織工房館の定番商品になり、兵庫県民局や兵庫県市長会、近畿市長会などから特別注文を受け、累計で500個を超える商品となった(写真15)。

写真13 春夏企画の播州トートバッグ

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写真13 春夏企画の播州トートバッグ

写真14 秋冬企画の播州トートバッグ

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写真14 秋冬企画の播州トートバッグ

写真15 近畿市長会で採用されたトートバッグ

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写真15 近畿市長会で採用されたトートバッグ


(3)播州ジーンズ:

播州織の新しいイメージを定着させるため、「播州帆布」を用いてジーンズを開発し、播州のご当地ジーンズとして「播州ジーンズ」とネイミングした。経糸に白糸、緯糸にはインディゴ、サックス、レッドの三色の糸を織り込んだ「播州帆布」を用いた。播州織独自のジーンズのイメージを持たせるため、ベルトやヨーク裏などの内側の布には小紋柄を捺染した先染織物の「しじら織」を用いた。ワン・ウォッシュ加工をした後に現れる「しぼ」が洗いざらしの自然な肌触り感を産み出し、播州生まれのジーンズの特徴になった(写真16、17)。また、秋冬企画として経糸に綿糸、緯糸に絹、毛、麻の三素材を織り込んだものを使用して墨黒、藍紺、柿渋の三色のジーンズを開発した(写真18)。「播州ジーンズ」はこれまでの播州織とは全く異なる商品であったため、注目を浴び、各種メディアで取り上げられ、播州織と工房館の話題性を高めた。

写真16 春夏企画の「播州ジーンズ」

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写真16 春夏企画の「播州ジーンズ」

写真17 「播州ジーンズ」のブース

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写真17 「播州ジーンズ」のブース

写真18 秋冬企画の「播州ジーンズ」

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写真18 秋冬企画の「播州ジーンズ」


(4)「播州やたら」のエコバッグ:

織物工場で余って捨てていた残糸を用いて織物にしたエコ素材「播州やたら」織を用いてエコバッグを作った(写真19、20)。やたら織は地糸と縞柄の配列や幅も一定でなく、同じパターンが繰り返されるチェックやストライプなどと異なり、裁断する位置により異なる表情を見せる。買い物で濡れたものを入れることも考慮し、布に樹脂加工を行い、撥水性を持たせてエコバッグを制作した。

写真19 「播州やたら」のエコバッグ

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写真19 「播州やたら」のエコバッグ

写真20 「播州やたら」のエコバッグのブース

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写真20 「播州やたら」のエコバッグのブース


(5)シャツ:

これまでのデザインの中で売れ筋の商品を定番商品として生地を置き換えて生産も行いつつ、新規に4テーマでシャツの企画も行った。

*なみなみ:大柄のチェックを用いた、癒し系のレディースのシャツ(写真21)。

*ギンガム:カラフルなギンガムチェックを用いたレディースのカジュアルシャツ(写真22)。

*STICH:玉虫のシャンブレーを用いたスタイリッシュなメンズ、レディースのシャツ(写真23)。

*FRILL:ブルーやピンクのパステルカラーのドビー織を用いたかわいい系のブラウス。

写真21 「なみなみ」のシャツ

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写真21 「なみなみ」のシャツ

写真22 「ギンガム」のシャツ

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写真22 「ギンガム」のシャツ

写真23 「STICH」のシャツ

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写真23 「STICH」のシャツ


    

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播州織寄席 平成19年10月12日(桂ざこば、他一門の5名が出演)、平成19年11月22日(桂南光、他一門5人が出演)の2回が行われた。
国内で現存する最古の帆布は、江戸後期、播州高砂(現在の兵庫県高砂市)の廻船問屋で船頭をしていた工楽松右衛門が織り上げたものである。