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6.今後の研究課題

周知のように台湾では原住民の分布は北部から南部まで約13族があると言われている。それぞれの族は各自の固有文化を持ちながら、他族やポルトガル、オランダ、明、清、日本など外来の文化をも吸収し、多様な文化体系を形成している。近年、台湾の原住民の民族意識が高まり、自族のアイデンティティが求められ、原住民の伝統産業文化への復活など、現在台湾の社会では話題となり注目を集めている。

しかし、よくみるとそれらの原住民の伝統産業文化の中には、かつての多くの外来文化要素が盛んに取り入れられた結果、本来各族持つべき独自の文化が喪失しつつあり、他族の文化と混ざり合っている。そのため、各族の文化境界線がはっきりしない状態で今日まで使われている。特に伝統の服装に見られる文様はかなり混乱しており、自族のオリジナル文様はどのようなものであるか、現在は原住民の年配者のみが知る、という状況である。

上述したように霧台村のルカイ族と七佳村のパイワン族の伝統服装に見られる文様には共通性もあるが、その地方独自の文様表現が数多く見られる。こうした独自の表現は、地方を代表する文様であり、またその地域の本来持つべきものでもある。即ちそれは、当地方のオリジナル文様でもあると考えられる。

本研究は、台湾の南部を代表するルカイの霧台村、パイワン族の七佳村の両地だけの伝統服装を取り上げ、その文様の関係を探究した。しかし、単に限定された調査の対象資料に、ルカイとパイワン族の固有文様はどのようなものであるか、はっきり定言することはできない。今後、その両地の近隣村の文様をさらに収集し分析することは、至急の研究課題である。

また、台湾原住民の伝統服装にある文様の歴史的背景、信仰観念、各族の文様における共通性・差異性、などの問題を解き明かしていくことがさらに重要な課題であると言える。これからの研究を通して、台湾原住民の各族が本来持つべき文様を引き出したいと考えており、各族のオリジナルな文様の体系化を再構築し、研究者や台湾原住民の社会、原住民の伝統産業文化に還元することを究極の目的とする。

(本調査研究は平成19〜20年度 文部省科学研究費補助金/基盤研究(B)による研究成果の一部である。)

注・引用文献

*1―
葉春栄編『歴史・文化與族群』順益台湾原住民博物館、2006年、p181

参考文献

葉春栄編『歴史・文化與族群』順益台湾原住民博物館、2006年
李莎莉『台湾原住民衣飾文化』南天書局、1998年
王蜀桂『台湾原住民伝統織布』晨星出版、2004年
高本莉『台湾早期服飾図録』南天書局、1995年
陳奇禄『台湾土著文化研究』聯經出版、1992年


 

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