まとめ

最初に述べたように、都市計画マスタープランとは、「市町村の都市計画の基本的な方針」のことである。したがって、マスタープランには個別の事業計画等は記載されず、それらを計画する際の指針が示されるのみである。しかしながら、今回策定した稲美町の都市計画マスタープランは、見直し前のものと比べると格段に詳細な記述を伴うものとなった。その理由は、従前のマスタープランの重点が、市街化区域の整備や比較的大規模な都市施設の整備に置かれていたのに対し、今回のマスタープランでは、市街化調整区域である田園ゾーンをも、主要なまちづくりの対象としてとらえ直し、町の中に散在する個別的な要素が生み出す多様性を、まちの魅力づくりに活かそうと試みたことにある。

結果として、今回策定したマスタープランは、大きなゾーニングや単純化されたダイアグラムの提示を越えた、稲美町内のいろいろな場所の固有性を活かしたまちづくりの可能性を開くものとなった。今後、このマスタープランを下敷きとして、地域住民と行政との協働を通した具体的な計画のための議論がさらに展開し、魅力的な地域づくりのための活動が、ひとつひとつ着実に実行されてゆくことを期待したい。

注・引用文献

*1―
都市計画法第十八条の二第一項には、「市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする。」とあり、さらに同第四項には、「市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない。」とされている。
*2―
兵庫県加古郡稲美町。東播磨地域に属し神戸市の西に隣接する、人口約3万2千人の町。町の面積は約34.96km2で、南北約6.5km、東西約7.9kmの形状をしている。町内には89のため池があり、町面積の約11%を占める。
*3―
平成18年度および19年度、神戸芸術工科大学受託研究「稲美町都市計画マスタープラン(見直し)策定業務」(研究代表者:川北健雄、研究分担者:齊木崇人・上原三知)。
*4―
地方自治法第二条第四項に、「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」との定めがある。
*5―
都市計画法第七十七条の二の規定および稲美町都市計画審議会条例に基づき、稲美町には町長の諮問に応じ都市計画に関する事項を調査審議させるための都市計画審議会が置かれている。本都市計画マスタープランの策定過程においても、マスタープランの素案が5段階に渡って都市計画審議会で審議された。

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