3 地域性を活かしたまちづくり

2004年、国際都市としての歴史を持ち、かつ近隣には山林や田畑が残り、古い歴史を持つ学園都市において、小学校・中学校・高等学校・大学および地域が連携したアートワークショップ「学園都市学校連携アートワークショッププロジェクト」を実施することになった。この地域活動の中心を担ったのは、神戸芸術工科大学、および兵庫県立伊川谷北高等学校(以下、伊川谷北高校)*5 、そして、近隣の小学校に通っている児童の保護者などである。

2004年10月に第1回目のワークショップを行い、2007年までに計4回実施している。参加者は毎年、約100名。スタッフ約50名によるアートイベントである。

3−1 ワークショップの構造

実施したアートワークショップの基本理念は、「子どもと高校生、大学生、そして地域の人々が協同して1日で作品を仕上げる」ことにある。すなわち、有名なアーティストを招いて子どもたちにアートの教育をするのではなく、また、家庭や学校に持ち帰り何日もかけて仕上げるものでもない。朝、会場に集まり、テーマを聞き、それぞれの役割をその場で決めて、作業にかかる。そして、夕方には展示をするという、即戦力と協調性を必要とする作業である。

限られた時間内で、年齢層、知識、経験の異なる世代がスムーズに活動し、かつ学んだ内容を的確に理解できるようにするため、このワークショップでは、大きく3つの階層に分けてそれぞれの作業に従事している。

3−1−1 ON STAGE(表舞台)

ON STAGEは、子どもたちが中心になってアート活動をする場である。ここでは、子どもたちは教えられて行動を起こすのではなく、自発的に自分たちの役割を見いだしながら行動していくことが求められる。

3−1−2 BACK STAGE(裏舞台)

子どもたちの自発的な活動を支えるために、BACK STAGEの高校生および大学生スタッフは、単に色の塗り方や、線の引き方を教えるのではなく、協同で制作する作品へのかかわり方を子どもたちに気づかせるよう導くことが求められる。「教える」のではなく「導き出す」ことがスタッフに求められるため、サポートスタッフのことを「ファシリテータ*6 」と呼称している。

また、限られた短い時間内で一定の成果を出すためには、子どもたちやファシリテータが自らの活動を常に振り返ることができるような環境を整備することが重要である。BACK STAGEには、ワークショップ内で起こっている現象をデジタルカメラやムービーで克明に記録し、即座に編集、開示する作業が要求される。このため、記録・編集専用のスタッフおよび必要機材を会場に配置している。

3−1−3 META STAGE(俯瞰台)

現場において刻々と状況の変わるワークショップにおいては、全体を俯瞰(ふかん)しながら、子どもたちの活動内容や、最終完成に向けてのファシリテータへの指示、記録スタッフへの編集確認などを行う必要がある。META STAGEのスタッフには、全体を把握しながら、常にワークショップの方向性を決定する能力が要求される。

3−2 地域とのかかわり方

このアートワークショップのもう一つの重要な理念に、「地域との密接なかかわりによる活動」がある。このワークショップを通して、子どもたちだけではなく、スタッフや保護者などが、地域のアイデンティティを見いだすことができるようにすることが求められる。また、地域にある資源を地域の人々の協力のもとに収集し、ワークショップで活かしていくことで、歴史ある従来の町の人びととニュータウンに暮らす人びとが、自発的に地域作りに参加できる環境を構築することも、この活動の重要な要素となっている。


 

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神戸市西区学園西町6-1。1986年開校。文系・理系・芸術系のコースに分かれてカリキュラムを構成。
facilitate v. 〜を容易にする。facilitator n. 〜を容易にする人