5 おわりに

 2005年度までの産学連携プロジェクトは、展示会のためのサンプルモデルの制作、播州織の共同開発、西脇商工会議所と連携した「播州織ファッションショー」の開催などイベント性の高いものであった。しかし、2006年度から始まる本プロジェクトにおいては、市内の中心市街地に空き家を改装したショップを作って常設し、独自のブランドを作り、その製品を生産、販売していくという継続性が求められるものになった。今年度の活動を通じて得ることができた成果や問題点を挙げ、今後の課題とする。

(1)「ネイブル」のシャツ企画に関して
 学生による若い人を対象にした企画だけではなく、「町おこし」に向けた幅広い企画コンセプトを再構築する必要がある。播州織の原点となった素材を発掘し、それを用いた定番のシャツを提案する西脇ベーシック企画、地元の高年齢の住民の要望を取り入れた高年齢者向けシャツを共同企画するシルバー企画、西脇高校生活情報科生徒さんとの共同企画で、地元の若者により播州織を身近なものに感じてもらうためのジュニア企画、等を考えていく。

(2)「産学連携ショップ」の運営、連携のあり方に関して
 ショップが作られる西脇市は本学と地理的に離れているところから、ショップの運営に関しては、本学との連携を図りながら行うにせよ、実質的には西脇TMOが行うことになる。しかし、その運営の中心には、地元若者の参加が望まれる。また「ショップ」への来訪者や学生と住民とのコミュニティを生み出し「町おこし」につなげていくためには、地元住民や近隣の商業者の積極的で主体的な参加は不可欠である。また、西脇高等学校生活情報科や西脇専修学校等の地元の教育機関との連携も必要である。

(3)生産システムに関して
 産学連携のブランドとして消費者に訴求する適正価格はいくらなのか。そのためには、原価をいくらまでに抑えなければならないのか。それらを考慮した上で、地元の縫製工場と連携した生産システムの構築を模索しなければならない。

(4)拠点施設の整備に関して
 県の補助金を受けた事業スケジュールとの関係もあって、今回の工房館の改修についてはハード的な整備を先行せざるを得ない状況にあったが、本来は、施設の利用運営計画を先行させ、想定される利用者や市民団体等からの要望を聴取して施設のデザインに生かすことが望ましい。今後の施設整備においては、そのようなプロセスを可能な限り組み入れてゆきたい。

(5)まちなみの整備に関して
 特色ある都市景観の維持のためには、拠点として整備する施設だけでなく、周辺の一般建築物においても、地域性や歴史性への配慮が行われることが不可欠である。今後の活動においては、文化的景観の価値に対する地域住民の意識の向上を促し、住民が主体的にまちなみ整備に取り組むような状況をつくり出すことをめざしたい。

 この1年の成果や課題を生かし、西脇の地元住民との結びつきをより一層深めて、「町おこし」に向けての地場産業との連携の可能性を模索していきたい。

本プロジェクトに参加した学部、大学院の学生は下記の通りである。
「ネイブル」ショップ、およびブランド企画、ショーの企画・運営:
 ファッションデザイン学科4年生 利根 功一、同3年生 西 慶子、馬場 ゆり
「ネイブル」シャツ制作:
ファッションデザイン学科3年生 赤堀 きよみ、荒木 萌、今井 啓太、大坪 弘明、刈谷 友美、志方 香穂子、田中 春子、鉄羽 淳平、中川 沙耶、西田 志寿沙、花畑 江梨、林 由乃、堀岡 亮太、薮木 映里
播州織工房館、およびショップの改装:
大学院総合デザイン専攻 岡本 忠士、環境・建築学科3年生 荒駒 晃、伊井 礼人

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