4−3.播州織工房館の改修

 実施設計を行う段階に至って再度打ち合わせを行ったところ、工房館の既存建築物に必要な構造補強や安全対策を施すだけで、予定されていた事業費の大半が費やされてしまうことが判明した。そこで、シャツショップの改修については次年度に延期することとなり、工房館については、残された予算内で要求される最低限の内装工事を行うことになった。また、西脇TMOからは、事業の運営上、工房館の中に配置する各作業ブースの面積を当初案よりも広く確保することや、各ブースの面積を統一することが求められた。
 そこで、そのような条件を満たす変更案を作成して検討を行ったが、諸事情によるスケジュールの遅れに関係者間の情報の行き違いが重なって、結局は充分にデザインを詰めることができないまま、工事を開始せざるを得ない状況となった。一方、工期的にも厳しい中で低予算での施工を可能とするため、内装工事に関しては、工務店等を介さずに、協力を申し出ていただいた経験豊富な地元の職人の方々に直接施工していただくことになった。
 このような状況の下、工房館内の水回りやステージ、作業ブースの配置等については、概算見積の算出用に作成されていた素案からの変更が困難な状況となり、大学側としては、その枠組みの中で、壁や床の形態と位置の調整、部材の納め方の指定、壁材の選択、照明の決定等を行い、それによって、織物工場が持つ大きな空間の力強さや、木材と鉄骨とが組み合わされた小屋組と天窓、しっくい塗りの真壁等の素材感が、より引き立てられるような工夫を行うことに専念した。細部に関しては、施工作業の進展に合わせて様々な判断を行い、現場における職人の方々との交流を通して最終的なデザインを決定した。
 結果として、実現されたデザインは当初案とは大幅に異なるものとなったが、施工性を重視した直線的なデザインによる、すっきりとした空間を作り上げることができた。また、地元の職人の方々との共同作業を通した空間づくりを行うことができ、施工のプロセスを通して、デザインについての考え方を地域の人々との間で共有できたことも、もうひとつの大きな成果であった。

写真26 施工写真:2007年1月19日 

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写真26 施工写真:2007年1月19日 

写真27 施工写真:2007年1月29日 

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写真27 施工写真:2007年1月29日 


写真28 施工写真:2007年2月8日

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写真28 施工写真:2007年2月8日

写真29 施工写真:2007年2月28日 

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写真29 施工写真:2007年2月28日 



写真30 内装工事完了:2007年3月17日 

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写真30 内装工事完了:2007年3月17日 

 内装工事完了後の2007年3月25日には、出来上がったばかりの工房館において、前述の「播州織ファッションショー」が開催された。多くの市民の参加を得て、地域づくりにおけるこのような施設の有効性を実証できたと同時に、華やかなファッションショーの舞台としても、旧工場の雰囲気を残した空間がうまく生かされることを確認することができた。しかしながら、日常的な工房館としての利用時には、旧工場の空間は彩りの少ない大空間であるため、ともすると殺風景な印象の空間となりかねない。そこで、工房館としての正式なオープニングまでの準備期間を利用して、産元から提供された播州織の生地を利用したインスタレーションを追加した。それらは具体的には、小屋組の間に架け渡された水平な布、壁面に沿ってつり下げられたバナー、入口部分の壁に掛けられた張りキャンバスなどで、素材としてはすべて播州織を用いることによって、播州織工房館としてのテーマを明瞭に表現した。


写真31 播州織生地のインスタレーション作業風景 

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写真31 播州織生地のインスタレーション作業風景 


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