4−3.テクノロジーと人間重視のモノづくり

 前述した両者の試みの特徴は、設計から生産までコンピュータで制御され、生産工程の見直しがされていることである。この試みにより、従来のアパレルの工業生産において問題となっていた素材のロスや生産ロットによる制約が発生せず、さらに利点として、工業製品でありつつ一着から工場で生産できる体制がとれるようになった。
 20世紀後半、工業製品としてのファッションは、サイズや体型という工業規格を作り、大きな購買マーケットのみを対象とした製品作りがなされてきた。また、地球規模での環境の悪化、資源の枯渇が今日的問題としてあげられているにも関わらず、巨大化したファッション産業は、新たな消費を喚起するために「流行」の変化を加速化させ、過度の浪費を生み出してきた。
 今後、人間重視のモノづくりや仕組みづくりが重視され、高齢者や身障者も含めて、規格外とされていたマーケットに対し、カスタマイズされた衣服を既製服でありつつ提供する必要が求められている。そういった中でこれらの試みは、店頭で顧客の要望を取り入れて、コンピュータ上で色、素材、サイズ、体型などのデータを加工して入力し、工場で生産を行うことができる。一着からカスタマイズできる工業的な衣服生産のシステムの可能性を生み出したのである。21世紀、ファッション環境が抱えている問題に対処するため、進化するテクノロジーを有効活用し、デザインのみならず生産システムをも再考し、ファッション環境デザインを再構築する試みが不可欠であると考える。


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