おわりに

図3 「木取り鉈」採寸図

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図3 「木取り鉈」採寸図


図4 「ナカウチ」採寸図

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図4 「ナカウチ」採寸図

 ずいぶん前のことになるが、木地師の仕事について興味を持ったのは、京都にある百貨店の実演販売会場で新子氏に偶然お会いしてからである。その時、独特な道具類を拝見して、使い方、仕立ての方法などをいつか詳しく伺いたいと思っていた。特に「ナカウチ」(写真11)の使用について、本で拝見して杓子の凹み部分を掘り下げる作業に使うことはわかっていたが、どの方向からどのくらいのスピードで振り下ろし、どんな切削音がするのか予測は想像の域を出なかった。幸い2006年11月に工房訪問が実現し、作業の様子を実見することで、持ち手と刃先の位置関係、重量など「ナカウチ」の形態の持つ意味が、理解できた。本調査では、映像で記録することがより効果的であると考えられたので、新子氏には作業の様子のビデオ収録にもご協力いただいた。貴重な伝統的技法を伝える映像資料として編集し今後大切に保管、発表していきたい。
 新子氏にはお弟子さんが一人だけいるが、30年ほど前にすでに独立している。最近は弟子入りの希望者があっても断っているそうである。その理由は、杓子を作る技術を覚えても道具を作る鍛冶師がいないので木地師としての仕事の継続が不可能という考えからである。本調査では、杓子作りの道具に関して採寸および重量の計測を行って記録している(図3〜5)。私の住む神戸市に隣接して金物製造を地場産業とする三木市がある。そこには若手の刃物鍛冶も少数ながら育っている。これからの予定として、木地師の道具の再現を三木市の鍛冶師に依頼して、木地および鍛冶の技術継承に微力ながら役立てればと思っている。



謝辞

図5 「ウチグリ」採寸図

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図5 「ウチグリ」採寸図

本研究は、木地師新子薫氏からの聞き取り調査を中心に行いました。新子氏にはお忙しい中、作業の手を止めて快く質問に答えていただき、また優先してビデオ収録にもご協力いただきました。この場を借りて、心よりお礼申し上げます。

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