4 材料について

「クリ 栗」(ブナ科)

分布 :
北海道(石狩・日高以南)、本州、四国、九州
特徴 :
樹形は卵形。葉は長さ7〜15cmの長楕円形で互生する。堅果は刺のあるイガに包まれており食用。
用材 :
環孔材で心材は褐色、辺材はやや褐色を帯びた灰白色である。気乾比重は0.44〜0.60 (平均値)で重硬な木材といえる。心材の保存性は極めて高く、水湿に耐える。
用途 :
建築(土台)、家具、器具、車両、挽物、枕木、土木

 新子氏が杓子作りに用いる栗について、立ち木および用材としての一般的特徴は上記のようになる。
 国内の木製杓子の産地として、4カ所が挙げられる。広島は桜、福島はブナ、長野は栃、奈良は栗を使って製作する。元々その土地で入手しやすい材を用いて生産が始まり、丸太の流通が発達した今日では材種を変えずに他の産地の木材を利用して製作を続けている。かつて奈良県大塔町付近には、栗の木が多かったようで、木地師は杓子の材として栗を使用して今日に至っている。現在は材木商に依頼して岐阜の市場で入手した岩手産の栗の丸太を奈良まで搬送して使用している。
 新子氏による杓子作りは、樹齢およそ80年の栗の丸太を生木の状態から一気に加工したのち乾燥させるという方法をとっており、他に例を見ない。栗は、生木の時は割裂性、切削などの加工性に富み、乾燥すると軽くなる。また耐水性があるので、杓子として長期使用可能な材料といえる。新子氏の杓子は、塗装をしない木地仕上げである。使い込むと栗に含まれるタンニンと鍋の鉄分などが化合して表面が次第に黒くなり、柿渋塗りや漆塗りのような風合いが出てくる。
 新子氏は、戦後の木材の乏しい一時期、栗の代用として水楢、檜、松を使ったことがある。水楢の若い木は材が堅くて加工しにくく、樹齢150年を超える大径の材ならば加工も容易であるが、そのような材は継続的な入手が困難であった。檜は耐久性に乏しく、また松はにおいが強く杓子の用材として相応しくなかったようである。

写真14 愛情いっぱいTシャ写真16 栗材(板目)ツで運動会

Larger

写真16 栗材(板目)

写真17 栗材(柾目)

Larger

写真17 栗材(柾目)



 HOME

 page top