1 木地師とは

 辞書、文献により「木地」「木地師」について調べると、次のようになる。

【木地】:(1)木材の地質。木材の木理。もくめ。(2)ろくろ挽き・木彫などの細工に用いる材料の木を荒挽きしたもの。漆を塗る目的で作った指物、または挽物。塗りものの下地。木地塗りの略。
『広辞苑』岩波書店・第四版より

【木地師】:轆轤(ろくろ)を使って椀や盆など、木地のままの器物を作る職人。かつては良材を求めて山から山へと渡り歩いていた。明治以降、急減。木地屋。木地挽(び)き。轆轤師。
「大辞林 第二版」三省堂より

「木地師は主として山中の樹木トチ・ブナ等から、椀・盆・シャモジ等の木地(原形)を作る人々をいい、その山の必要な木を切り尽くすと、次の山へ移っていく非定着の山の民であり、それが近世末まで続いたのである。」
『木地師 光と影』木地師学会編より

 木地師の歴史は古く、その始まりは文献で確認できる物として、「正倉院文書」の天平六年(734年)「造物所作物帳」がある。その中に「給近江轆轤工二人 粮米一斗五升」との記述があり、木地師の職種の一つであるろくろ工が奈良時代すでに存在していたことがわかる。その後、近世まで連綿と受け継がれた木地師集団であったが、明治以降急減する。そして戦後の国策により、スギ、ヒノキの植林が奨励され広葉樹林が減少したこと、また輸送手段の発達により容易に木材を入手できるようになったことで、1960年代には良材を求めて山から山へと渡り歩く集団としての木地師は消えて、1200年以上続いた歴史に幕を閉じることになる。


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