図1-1-1 「ガーデンシティ舞多聞」完成予想図(CG:ヒメネス、2003)

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図1-1-1 「ガーデンシティ舞多聞」完成予想図(CG:ヒメネス、2003)


図1-1-2 神戸に広がる農村集落の民家 (写真:齊木、1993)

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図1-1-2 神戸に広がる農村集落の民家(写真:齊木、1993)


図1-1-3 「ガーデンシティ舞多聞」の 住まい方のイメージを示したパンフレット (作成:齊木研究室、2003)

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図1-1-3 「ガーデンシティ舞多聞」の住まい方のイメージを示したパンフレット(作成:齊木研究室、2003)


図1-1-4 「ガーデンシティ舞多聞」 第20回公開講座の風景 (写真:木下怜子、2007)

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図1-1-4 「ガーデンシティ舞多聞」 第20回公開講座の風景(写真:木下怜子、2007)


図1-1-5 住宅基本構想プランヒアリングの成果物に基づいたデザインコード案 (作成:齊木研究室、2005)

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図1-1-5 住宅基本構想プランヒアリングの成果物に基づいたデザインコード案(作成:齊木研究室、2005)


図1-1-6 背後の斜面緑地を取り込む住まい (写真:齊木、2007)

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図1-1-6 背後の斜面緑地を取り込む住まい(写真:齊木、2007)


図1-1-7 地形が屋根勾配に生かされ風景が重なる(写真:齊木、2007)

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図1-1-7 地形が屋根勾配に生かされ風景が重なる(写真:齊木、2007)


図1-1-8 土地と風景に溶け込む住まい (写真:齊木、2007)

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図1-1-8 土地と風景に溶け込む住まい(写真:齊木、2007)


図1-1-9 人を迎える表情を持つファサード(写真:齊木、2007)

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図1-1-9 人を迎える表情を持つファサード(写真:齊木、2007)


図1-1-10 開口部の向こうに風景がある(写真:齊木、2007)

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図1-1-10 開口部の向こうに風景がある(写真:齊木、2007)


図1-1-11 建物の内と外を結ぶ土間空間(写真:齊木、2007)

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図1-1-11 建物の内と外を結ぶ土間空間(写真:齊木、2007)


  図1-1-12 風が抜け、光を採り込む住まい(写真:齊木、2007)

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図1-1-12 風が抜け、光を採り込む住まい(写真:齊木、2007)


図1-1-13 木のぬくもりのある住まい(写真:齊木、2007)

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図1-1-13 木のぬくもりのある住まい(写真:齊木、2007)


図1-1-14 建築ネットワークのパンフレット(作成:齊木研究室、2007)

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図1-1-14 建築ネットワークのパンフレット(作成:齊木研究室、2007)


図1-2-1 みついけ役員会の風景(写真:宮代、2007)

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図1-2-1 みついけ役員会の風景(写真:宮代、2007)


図1-2-2 みついけの住民総会の風景(写真:山形晃大、2007)

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図1-2-2 みついけの住民総会の風景(写真:山形晃大、2007)


図1-2-3 みついけの住民総会の風景(写真:宮代、2007)

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図1-2-3 みついけの住民総会の風景(写真:宮代、2007)


図1-2-4 みついけプロジェクトのまちなみ(写真:齊木、2007)

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図1-2-4 みついけプロジェクトのまちなみ(写真:齊木、2007)


図1-3-1 舞多聞のグリーンネットワーク(作成:齊木研究室、2007)

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図1-3-1 舞多聞のグリーンネットワーク(作成:齊木研究室、2007)


図1-3-2 「舞多聞みついけ公園」の散策路(写真:齊木、2007)

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図1-3-2 「舞多聞みついけ公園」の散策路(写真:齊木、2007)


図1-3-3 溜め池と周辺の都市計画緑地(写真:齊木、2007)

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図1-3-3 溜め池と周辺の都市計画緑地(写真:齊木、2007)


図1-3-4 県民まちなみ緑化事業を活用して整備された生垣(写真:宮代、2007)

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図1-3-4 県民まちなみ緑化事業を活用して整備された生垣(写真:宮代、2007)

1|みついけプロジェクトの実践

1−1 「舞多聞型」の住まいづくり

1−1−1 住まいのイメージづくりから実践へ
(1)「舞多聞型」の住まいのイメージづくり
 はじめに、私たちは「新・田園都市」が目指す「住まいのイメージ」を提供した。模型・スケッチ・CGを用い、イメージを可視化することに務めた。また、大学では本プロジェクトを学内共同プロジェクトとして位置づけ、土肥、小玉、川北、木村博昭教授(現:京都工芸繊維大学大学院教授)との間で、それぞれの専門分野の都市計画、エコロジカルデザイン、住宅デザイン、コミュニティデザインについて議論を重ねた。その中で、「新・田園都市構想」18項目のコンセプトを、本プロジェクトに則した内容に改め、それらを5つの提案に要約した。A.旧ゴルフ場の緑や地形を生かす「エコロジカルデザイン」、B.安全で安心できる「参加型コミュニティづくり」、C.多様なライフスタイルとライフステージに応える「多様な住まい」、D.緑豊かなゆとりある敷地に「美しい住宅」、E.「新・田園都市」の質の高い居住環境はコミュニティの共有財産。
 また、起伏に富んだ地形を生かした道路計画と宅地割りは、多様な敷地条件を生み出した。それぞれの立地条件から、(1)樹木の中にたたずむ美しい風景のある暮らし、(2)広々とした庭に菜園をもつゆとりのある暮らし、(3)美しい風景が望め、広いテラスのある暮らし、(4)緑豊かな環境につつまれ、お店もできる出会いのある暮らし、という4つの住まい方を提案した。(図1-1-1)
 さらに、近隣の須磨や伊川谷の中世から続く伝統的な集落の空間構成や、神戸の北区に広がる摂但型(妻入型)、西区に広がる播磨型(平入型)の民家がつくる固有のかたちに学びながら、歴史的経験と風土の特色を生かす「舞多聞型」の住まいづくりを目指した。(図1-1-2)

(2)「舞多聞型」の住まいのイメージを示す
 その後、研究室では、「新・田園都市」のイメージ図、18項目のコンセプトと5つの提案、4つの住まい方のスケッチを表現した提案パンフレット「新しい住まい方への提案」を作成し、周辺のニュータウン4万5千世帯に悉皆配布した。この提案に対する関心度や、住まい観、現在の住まい方や将来のビジョンを確認するためのアンケートも同封し、約480世帯からの回答を得た。後に都市再生機構との連携により、阪神地区の70万世帯に再度パンフレットとアンケートを配布した際には、約1,600人からの回答を得た。回答者は「舞多聞倶楽部」のメンバーとなり、将来の住まい手としての準備を開始した。(図1-1-3)

(3)公開講座やワークショップで住まいの価値観を共有
 住まいのイメージづくりにあたっては、住まう人々が目標とする価値観の共有を目指した。敷地と建物を一体で考えること、本当の住まいづくりは竣工し、家族が居住してから始まること、時と共に改変し価値化しながら長く住みつづけることのできる住まい、定期借地権を活用したゆとりある住まいづくり等、居住環境の質の獲得が求められ、「舞多聞倶楽部」のメンバーを対象とした、大学主催の公開講座や、都市再生機構との連携によるワークショップが開催された。将来の住まい手が共に「住まい」「コミュニティ」「まち」について継続的に学び考えることにより、敷地・建物・住まい手が一体となって、質的向上を目指した。(図1-1-4)

(4)向こう三軒両隣を基礎としたコミュニティ
 個々の家族の居住環境への意識を育むと同時に、お隣やお向かいとの連携も求められる。みついけの68世帯は8〜12世帯の向こう三軒両隣を基礎単位とした、7つのコミュニティによって構成されている。また、各コミュニティの5〜8世帯、計40世帯は、事前に形成したグループごとに応募する「グループ向け募集」が採用された。グループ形成を目指したグループワークショップが募集までの期間、継続的に行われた。このワークショップの中で、参加者は、「ガーデンシティ舞多聞」の住まいの価値観を共有できる仲間を求め、新しい加入者や、仲間の再編成を繰り返しながら、グループが形成された。

(5)みついけプロジェクトの住まいのルールづくり
 グループ向け募集の40世帯と個人向け募集の28世帯、合計68世帯が決定すると、コミュニティワークショップに参加し、住民たちは、建築・緑地協定、ガイドラインを自らの意思で決めた。
 また、研究室では、ルールづくりという「総論」と同時進行で、個々の住まいづくりという「各論」を検討する、住宅基本構想プラン作成のための個別ヒアリングを行った。
 62家族を個別に研究室に招き、家族の住まいへの要望、住まいへの価値観、「ガーデンシティ舞多聞」への理解、住み替えに必要な資金の準備と経済状態、将来の家族像など、研究室のメンバーが聞き取りながら、それらを建築化し、空間化し、環境化した。約半年をかけ、計62世帯の住まいの基本構想プランを1/200の平面図にまとめた。
 ヒアリングを通じて、住民たちは、自分の住まいだけでなく、お隣やお向かいの住まいの関係性を理解した。個々の住まいづくりに、コミュニティやまちへの眼差しを持つことができたのである。「エントランスやガレージの位置」、「植栽・生垣の高さ」、「隣地や前面道路からの後退距離」、「並木道としての表情をつくる「まちの木」」、「樹帯をつくり100年の森をつくる「家の木」」などが、「向こう三軒両隣」のコミュニティ単位で検討された。(図1-1-5)


1−1−2 研究室による住まいづくりのサポート〜住まいづくりで目指してきたこと〜
 「住まい」「コミュニティ」「まち」のデザインを継続的に提案してきた研究室は、希望世帯から実施設計を引き受けることになった。最終的には9世帯からの依頼を受け、研究室による住まいづくりがスタートした。
 まず、「舞多聞」のコミュニティづくりと連携した、基本設計から入居までのプロセスを説明し、同時に、契約事項、費用の設定、設計料についても確認した。
 本格的な住まいづくりに踏み込むと、住まい手のプランのイメージは、ハウスメーカーの展示場で見たものや、個々のそれまでの住経験に大きく左右されていることを痛感した。また、住まい手の多くは、インターネットによる情報収集にも長けていた。
 住宅基本構想プランは、予算を度外視し、理想を100%採り入れた「わがままプラン」である。一方で、現実的なプランにおいてはnLDKスタイルに束縛されている。私たちはこういった現状を刺激し、ゆさぶり、それぞれの住まい手の予算の中で、土地に合った固有な住まいのイメージをつくることを目指した。

(1)みついけの微地形をいかに上手く取り込むか
 みついけの68区画は全てその形状が異なる。そして全て緩やかな傾斜を持っている。建築協定には「敷地の地盤面の高さは原則、変更してはならない」という規定があり、固有性のある敷地ごとの地形を住宅デザインに取り込みながら設計されている。緑豊かな斜面地を住空間に取り込み、また、ゆとりのある広い敷地を生かしながら住宅の内外が一体となる住まいを目指した。その敷地にしか建つことのできない、固有の場所と空間の意味を持つ住宅が、周辺の環境と連続しながらみついけの自然地形を楽しんでいる。(図1-1-6、1-1-7)

(2)一つ一つの住まいは家族のライフスタイルに合わせて全て違う
 「舞多聞」みついけの敷地はすべて緩やかに傾斜している。私たちはその敷地が持つ秩序を理解する作業を何度も繰り返し、建物がいかにその土地に溶け込むかを考えた。地形と既存の豊かな緑に敬意を払い、奇をてらったデザインではなく、地形の傾斜がそのまま屋根の勾配に生かされ風景が重なる。その風景のリズムを共有する建物の表情にはそれぞれ住まい手の人柄が加わり、住まう家族の価値観が現れる。同じものは2つとないその表情が、まちの風景をつくり舞多聞の風景となる。私たちはそんな住宅づくりをめざした。(図1-1-8)

(3)家族を迎える表情を持つファサード
 住宅のファサードは「家の顔」である。またそれらが集まって「まちの顔」となる。舞多聞みついけの住まいでは、人々を迎え入れる表情を持ち、外に開かれた住宅のデザインを目指した。6mの車道に面した2mのセットバック、敷地前面に広がるオープンスペース、庭を彩る芝生や植栽、住宅の玄関、土間やサンルームなどの中間領域が複数のレイヤーのように重なり、住宅と外部をやわらかくつなぐ。みついけでは隣地との境界部分および敷地とセットバック区域との境界部分は、見通しがきく生垣などとし、可能な限りオープンで、街を歩く人々が安全で楽しめる開放性のある住宅地を目指した。(図1-1-9)

(4)開口部の向こうに風景がある。周りの風景と住まいの開口部をつなげる
 どの部屋からも風景が見える。流れるような部屋のつながりを意識して、いずれの部屋も豊かな緑へと開けた窓をもち、窓から見える景色へのこだわりを強く持った。
 それぞれの意味をはっきり意識できるような窓の配置を行い、窓を通して風景を獲得し、そこから風を導き快適な室内環境を獲得する。また、風景を獲得する一つの方法として、伝統的民家スタイルの土間空間に着目し、再構築を試みた。明るく外部へ大きく開放された通り土間によって、周りの風景が建物内部へと導かれ、ゆるやかに外と内とを繋ぐ役割を担う、生活を豊かにする場所としての土間空間が必要であると考えた。(図1-1-10、1-1-11)

(5)風が抜け、光を採り込む住まい
 街のそよぎはそのまま住まいの中に取り込まれ、自然の風が家族を包むような空間となるよう、南北通風のとれる開放感溢れるプランづくりを心がけた。また、空間を水平に延長するだけでなく、垂直方向にも上昇して立体的に捉えることで、風の通り道を確保した。(図1-1-12)
 風景に開かれた窓は、部屋中に光溢れる空間を提供し、1階と2階をつなぐ吹抜では光がスパイラル状に上昇し、空間の重なりとつながりを意識できるような重層感を表現した。これらの要素は隣地や向かいの住宅との間隔を調整し、塀を設けず、ゆとりある開放的な配置構成をとったことで実現したといえる。

(6)木の温もりのある、生きつづける住まいを目指して
 風土の中で熟成してきた住まいの良さを継承し、伝統的民家スタイルを未来へつなぐための住まいとして、木の温もりや風景を取り込んだ開口部の広がりなど、伝統的な空間の質と周辺環境に敬意を払った住まいづくりを進めてきた。さらにそれらの要素を現代の生活に再構築し、敷地形状、気候風土と住まい手の価値観が加わることで、その場所に適した居住空間を生み出せたのではないかと考える。現在、生活の始まったそれぞれの住まいはその住まい手によって新たな価値を生み出そうとしている。計画者と住まい手が一体となって、木組の伝統的民家スタイルを受け継ぎ、進化させ、未来につなげる、そんな生きつづける住宅づくりを目指したいと考える。(図1-1-13)


1−1−3 建築ネットワークによる住まいづくり〜建築家によるネットワークを構築〜
 「ガーデンシティ舞多聞」の固有価値を持った住まいづくりは、研究室だけの目標ではない。私たちは、兵庫県と大阪府の建築士会を通じて、プロジェクトに賛同する建築家を募り、「舞多聞建築ネットワーク」を構築した。現在までに37名の登録建築家と、11社の登録施工業者が参加している。
 ネットワークは、コーディネートの専門家(幸田真生子氏)のサポートを受けながら、研究室が窓口となって活動している。その中で、法律事項、契約事項、トラブルの対処法を、施主に示すシステムを構築した。(図1-1-14)
 また、隣接する住まいづくりを担当しているそれぞれの建築家同士が、プランや模型を持ち込み、隣棟間隔や窓の位置、隣地境界付近の仕上げ等についての調整も行っている。
 ネットワークでは、登録建築家との勉強会を定期的に開催し、住まいづくりの価値観を共有してきた。


1−2 コミュニティマネージメントの実践


1−2−1 みついけ役員会(「協定運営委員会」「地中化運営委員会」)の結成
 2006年1月、「みついけ役員会」のメンバーが確定した。役員は、向こう三軒両隣を基本単位としたa〜gの各コミュニティから1名づつ計7名選出されている。役員は、まちづくりのルールを運営する「協定運営委員会」と、電柱が地中化埋設された時に、管理を行うにあたって組織化が義務付けられている「地中化運営委員会」としての役割を兼務している。
 役員会は定期的に会合を開き、都市再生機構、神戸芸術工科大学、まちづくりアドバイザー(齊木)のサポートを受けながら、協定及びガイドラインの運用細則の作成、住民総会の準備等を行っている。
 この役員会は自治会の前身でもあるが、研究室では、コミュニティの質を維持し更なる向上を目的とした「まちづくり協議会」の設立を提案している。神戸市ではまちづくりを行う際に、地域住民自らが参加し、行政と協働でまちづくりを行うために組織される「まちづくり協議会」の設立が認められている。まちづくり協議会は住民等の総意を反映して、地区のまちづくりの構想にかかる提案を「まちづくり提案」として策定することができる。市長は施策の策定及び実施にあたっては「まちづくり提案」に配慮しなくてはならない。また市長とまちづくり協議会は良好なまちづくりを推進するために定めた協定を「まちづくり協定」として締結することができる。(図1-2-1)

1−2−2 みついけ「協定運営委員会」「地中化運営委員会」の住民総会
 みついけプロジェクトは、宅地引渡し後の2006年5月から約2〜4ヶ月に1度の割合で、役員会が中心となり、都市再生機構や大学のサポートを得ながら、「協定運営委員会」「地中化運営委員会」の住民総会を開催している。(図1-2-2)
 総会にはみついけプロジェクトの全世帯に参加を呼びかけており、主にルール(建築・緑地協定、みついけガイドライン)の解釈や修正、近隣商業施設に対する意見書の提出、等についての話し合いが行われている。(図1-2-3)
 みついけプロジェクトでは、住まう前にルールを確定したが故に、実際に住みはじめてから不便を感じる項目や、各画地の立地や形状が異なることによる不都合が住民から指摘されている。ここでは、これまでの「与えられた」ルールではなく、「使いこなす」ルールづくりが課題となっている。(図1-2-4)

1−2−3 まちづくりアドバイザーの派遣
 みついけ役員会は、個々の住宅建築が進められている中、「まちづくりアドバイザー」の派遣を、神戸市の「こうべまちづくりセンター」に依頼した。アドバイザーは、住民が住まいづくりを計画する際に、お隣同士の住宅や窓の位置、隣地境界付近の生垣やフェンスの仕様、通りに面した前庭の一体的なデザインのアドバイスなどを行う。委員会は、既に神戸市の登録アドバイザーであり、みついけプロジェクトのデザイン計画の提案者でもある筆者(齊木)を指名し、2006年7月に正式に任命された。以降、みついけ役員会(「協定運営委員会」「地中化運営委員会」)や住民総会へのオブザーバーとしての参加、「エリアマネジメントの推進に向けた実施団体の募集」や「県民まちなみ緑化事業」(後述)の申請のサポート、等を行っている。

1−2−4 「エリアマネジメントの推進に向けた実施団体の募集」への申請
 2007年5月、「みついけプロジェクト」は、国土交通省による「エリアマネジメントの推進に向けた実施団体の募集」に、都市再生機構、大学、まちづくりアドバイザーのサポートを得ながら応募し、6月に当選が確定した。
 国交省は、2006年6月に「新たな担い手による地域管理のあり方検討委員会」を設置し、エリアマネジメントについて検討した。これは、少子高齢化により、良好なコミュニティ維持が困難となっている現状から、今後、エリアマネジメントを促進し、その担い手をサポートしていくことを目的としている。今回、国交省では、エリアマネジメントに取り組んでいる団体を対象として、その活動をより促進するとともに、その有効性や課題を実証的に把握するため、助成を行う団体を募集した。
 応募に際してまとめられた実施計画は、「ルールの活用」「自治会の発足」などの「みついけプロジェクト」内に関することから、「都市計画緑地の管理」「まちづくり協議会の結成」などの「ガーデンシティ舞多聞」全体に関わること、そして、「舞多聞からのまちづくりやコミュニティづくりの情報発信」といった、「隣接する既存オールドタウン・田園地域コミュニティ」との連携も視野に入れた内容となっている。

「みついけプロジェクト」エリアマネジメントの実施計画
  1. 「協定運営委員会/地中化運営委員会総会」開催。「建築協定」「緑地協定」「ガイドライン」の運用・改善、その他地区内の課題(管路の管理等)について議論。
  2. 「建築協定」「緑地協定」「ガイドライン」のブックレット作成。
  3. 「公園・緑地管理のワークショップ」(都市再生機構、神戸芸術工科大学主催)開催。街区公園(舞多聞みついけ公園)と都市計画緑地、宅地内斜面緑地の住民主体の管理手法を構築・実践(草刈り、剪定作業など)。中心メンバーとしての「エコ倶楽部」始動。
  4. 自治会・まちづくり協議会結成準備。次年度からの結成・始動を目指す。
  5. インターネットを駆使した「コミュニティネットウェア」の始動。地区内の「まちづくり」「コミュニティづくり」の情報発信。
  6. 「まちづくり」「コミュニティづくり」のイベント開催。「舞多聞」内の新規地区や隣接する既存コミュニティ(オールドタウン、田園地域)との連携を目指す。

 今後、エリアマネジメントの実践にあたり、「体制づくり」「運用方法」「スケジュール」等に関して、まちづくりアドバイザーのサポートを得ながら、役員会が中心となって、「自らのまちを自らの手でつくる」仕組みをいかにして構築していくか、が課題となっている。


1−3 みついけのグリーンベルトづくり


1−3−1 個々の庭や斜面緑地から公園をつなぐグリーンベルト
 みついけの南西部に残されたゴルフ場当時からの溜め池と周辺緑地や、舞多聞みついけ公園、そして住まいの背後につづく斜面緑地は、みついけの緑の骨格を構成している。
 また、個々の庭づくりは、コミュニティやまちを意識し、生垣、オープンスペースの使い方についてお隣やお向かい同士が連携し、個々の緑をつなぐ緑地帯が生まれつつある。これらの緑がつながることによって、みついけのグリーンネットワークが構築される。共有財産である緑地は、みどりのワークショップで住民たちの手によって守られる。(図1-3-1)

1−3−2 公園づくりのワークショップ
 2006年7月と9月に、これまで研究室が行ってきた現地ワークショップ、植生調査、デザイン計画策定を基に、みついけの中心部に位置する街区公園(舞多聞みついけ公園)のデザイン計画や管理計画を、住民の意見を採り入れながら行う、「公園づくりワークショップ」を実践した。この公園敷地は、ゴルフ場時代からの斜面緑地や樹木を残した小高い丘を持つ地形になっている。
 また、公園内には30uの市民花壇を設け、神戸市の補助(美緑花ボランティア)を受けながら、住民主体で管理が行われることが決定した。
 街区公園は、デザイン計画が確定した後、2006年11月に神戸市により着工され、2007年3月の「ガーデンシティ舞多聞」のまちびらきに合わせて整備が完了した。(図1-3-2)
 みついけの南東部にある、兵庫県の環境アセスメントにより保全が定められた溜め池と周辺緑地は、都市計画緑地として保全されることが決定している。この緑地のデザイン計画も、街区公園と同様、ワークショップを通じて住民の意見を採り入れながら、管理方法の検討も含めて行われることが予定されている。
 街区公園と都市計画緑地は、緑地管理や緑化を考える「グリーンネットワーク」や、エコロジカルな住まいづくりを目指す住民組織「エコネットワーク(みついけエコ倶楽部)」の拠点として活用されることが期待されている。(図1-3-3)

1−3−3 県民まちなみ緑化事業補助金の活用
 みついけプロジェクトでは、兵庫県の「県民まちなみ緑化事業」を活用して植栽を行っている。兵庫県は、2006年度より導入された県民緑税を財源とする、「県民まちなみ緑化事業」を開始した。
 本事業には「防災緑化」「環境緑化」「修景緑化」があり、このうちの「環境緑化」においては、住民が、公園、学校、広場、住宅地や空き地などで共働して実施する緑化活動に対して、兵庫県から苗木の提供や緑地整備費などの助成が行われる。
 初年度はまず3グループ12世帯でこの助成を活用し、住民とまちづくりアドバイザーとの協働により、「同一樹種による生垣の植栽」「斜面緑地や隣地境界付近の緑化」「グラスパークによる一体的な駐車場の整備」を計画した。
 みついけプロジェクトの住民たちは、ルールづくりのワークショップでの経験から、個々の希望である「各論」とまちなみを考慮する「総論」を同時に考える習慣を身に付けている。今回の申請でもこの経験を生かすことにより、補助金を獲得することができた。(図1-3-4)



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