図9 iアプリによる調査アプリケーションの活用

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図9 iアプリによる調査アプリケーションの活用


図10 iアプリによる調査アプリケーションの課題

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図10 iアプリによる調査アプリケーションの課題

5 まとめ

5−1 課 題

 現在、最も身近な情報ツールとして利用されている携帯電話は、被虐待児にとって手軽に利用できる手段として有効である。ここでは被虐待児の早期発見に役立つiアプリによる調査アプリケーションを開発し、その動作を確認した。今回開発した調査アプリケーションは質問を順次表示し、これに答えるだけの単純なものであるが、この調査アプリケーションを広く被虐待児童の早期発見に役立てるには、ゲーム性をもつiアプリの特徴を生かした活用として、図9のように質問の合間に簡単なミニゲームやアニメーションを挿入するなど、より子どもに受け入れられやすい調査アプリケーションにすることができる。
 また現状では小学校内で携帯電話の使用ができないうえ、利用できる児童の環境が限定され、図10のようにすべての子どもが個人の携帯電話を所有し、日常的に利用できる環境にあるとは限らない。特に被虐待児の場合、親から携帯電話を与えられていない可能性がある。さらに、携帯電話の種類によっては機能を限定していたり、他のキャリアのiアプリを利用できない機種もある。これらを所有している子どもは本アプリケーションを使用できないため、より広範囲の子どもが利用できるようなアプリケーションを作成することが望ましい。
 他の課題としては児童が飽きずに全ての質問に答えられるように、問題数を調整するなどの工夫も必要である。さらに、結果を携帯電話の画面に表示させるだけでなく、分析のためにはサーバに送信して保存できる仕組みを追加することが望ましい。


5−2 展 望


 被虐待児の早期発見のための調査アプリケーションは、特定の児童だけに利用されるのではなく、広く多くの児童に利用してもらうことが望ましい。そのためには定期的に児童が自然に利用できる枠組みを準備する必要がある。たとえば年に1度、児童の身長、体重などを調査する身体測定や歯の健康状態を調査する歯科検診などが行われている。これらは児童の身体に対する健康状態を確認し把握することで、治療を勧めたり、児童の疾病異常の早期発見、身体の健康の保持増進に役立っている。
 一方で心に関する健康状態の調査に関しては確立された調査方法によって定期的に調査していなく、日々の学校生活での生徒との関わりから先生や場合によっては家族が感じ取るしか方法が無いのが現状であり、虐待を受けて心を痛めている児童の発見には、児童本人やこれに気付いた先生等からの通報、相談でしか発覚しない。そこで心の健康状況を調査する機会を定期的に設けると、児童の心の状態を確認して把握できるようになる。今回開発した調査アプリケーションを改良して、実用化できれば、被虐待児の早期発見システムが各所で行われ、心の健康検診が実施されることが期待できる。


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