4 おわりに

 初回の打ち合わせから上演まで約一年間、第4回制作会議から学生たちが参加していく中、彼らは新たな多くの事を体験した。
 授業の実習、演習では、自分がデザインし制作するという自己完結型のデザイン手法を学んでいる。しかし本プロジェクトでは演出家、芸術監督、振り付け、出演者などの関係者と常にコミュニケーションを取りながらデザインおよび制作を進めていかなければならなかった。つまり実社会で行われているコラボレーション型デザイン手法を学んだのである。また、素材の選定、出演者に対する幾度かの仮縫い、舞台衣装という特殊な縫製への注意点、制作途中では神戸新聞から取材を受けるなど、初めての事を踏まえながら制作を進めていかなければならなかった。学生たちは当初、戸惑ってはいたが、経験を重ねていくうちに手法を習得工夫し、さまざまな困難も乗り越えながら初めての舞台衣装制作に意欲を持って挑戦していった。その結果、多くの方からお礼やお褒めの言葉を頂き、大成功を収めることができた。
 音楽という文化と「産・官・学」の連携プログラムにおいて、音楽と衣装制作という初めての取り組みの中で、学生たちは、顔の見える人たちの衣装を作り、その人たちとふれあい、社会と関わり、デザイン制作を進めていった。またグループワークの中でのスケジュール管理、上級生の下級生に対するリーダーシップなど、学年の枠を超えた中で、一体となってひとつの作品を作り上げていった。多くの困難はあったが、本プロジェクトは、学生達に実社会でのデザイン手法を理解させ、ファッションデザインという分野への誇りや自信を持たせ、教育効果においては、多大なものがあったと考える。
 学生たちの秘めたる可能性について、今後も期待したい。


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