2 新疆ウイグル自治区

 中国・新疆ウイグル自治区はモンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、インドに接した中国最大の自治区である。面積は中国の総面積の1/6の大きさ(1万989km2)を持ち、ユーラシア大陸の中央に位置し、古代からシルクロードの要所であり、極東の我が国にもその影響をもたらした。この自治区の人口は175万人を数え、47民族が居住しており、少数民族の数も多い。主要な少数民族は、ウイグル族、カザフ(ハサク)族、回族、キルギス族、モンゴル族、タジク族である。中国全体を見ると全人口の92%を占める漢民族と残り8%を占める55(更に小さな少数民族を入れると、100とも150ともいわれる少数民族が存在するといわれている。)の少数民族から構成されているが、この自治区は漢民族が極端に少ない地域といえる。
 気候は内陸性乾燥気候のため、気温の年較差・日較差が激しい。夏場は日中の気温が30℃を超えるが、冬場には−20℃まで下がる。1日の気温の差も20°程度は普通。年間を通じて晴天が多く降水量は少ない。タクラマカン砂漠が中央にあり、周囲に万年雪を頂く高峰がそびえたつ。5000mを超える高い山から川が流れ出し、砂漠のあちこちにオアシス都市を作り上げている。また、タクラマカン砂漠をはさんで北側を天山南路(西城北道)と南側を天山南路(西城南道)と呼ばれるシルクロードが通っている。天山山脈の北には草原(ステップ)が広がりその中を天山北路が通っている。シルクロードは重要な交易路であったが、明の鎖国政策、海上交易の発展などによって衰退してしまい、19世紀後期、この地に近代的な国境が画定されると、すっかり分断されてしまった。ところが近年、中国の経済改革が新疆ウイグル自治区に伝わり、中央アジア諸国の独立と混乱が一段落した現在では、経済や文化を伝える交易路として静かに復活しつつある。現在はまだ伝統的な生活が残っているが、中国の海岸線から始まった経済発展は内陸奥地にまで進んできている。

図2-1 新疆ウイグル自治区

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図2-1 新疆ウイグル自治区

図2-2 新疆ウイグル自治区の地理とシルクロード

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図2-2 新疆ウイグル自治区の地理とシルクロード


 中国は広い全土で一律の標準時間(北京時間)を使っており、日本との時差は-1時間ある。しかし、新疆エリアには非公式の新疆時間がある。北京時間とは、2時間の差がある。しかし、航空発着時間などは北京時間であり、おおむね、公式時間は北京時間で動いているようであった。それゆえ朝7時といえども真っ暗である。夜9時になってもまだまだ明るく、人々は、サマータイムを楽しんでいるといった風である。困ったことといえば、12時(正午)になってもレストランが開かないことである。人々は2時ごろ昼食をとるらしい。
 言語も、北京語(標準語)がなかなか通じないらしい。らしいというのは、私自身が北京語もウイグル語もわからないためである。中央集権国家の中国にあって、異彩を放っているようである。
 この新疆ウイグル自治区のデザイン文化の予備調査のために、2005年8月末、上海−ウルムチ−カジュガルの3都市の状況調査を実施した。ここでは、ウルムチおよびその近辺のトルファン、カジュガルについて報告する。ウルムチはこの自治区の東北に位置し、カジュガルは西端に位置する。カジュガルは中国の西の端の街であり、パキスタン領のパミール高原観光の拠点にもなっている。


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