4 クリスタル・ウォーターズ(CW)の住まい方

(2)CW入口の案内標識

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写真2 CW入口の案内標識


(3)バリーからCWの説明を受ける

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写真3 バリーからCWの説明を受ける


(4)CW内の舗装路

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写真4 CW内の舗装路


(5)隣人との助けあいとプライバシーのバランスが熟慮された広い区画

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写真5 隣人との助けあいとプライバシーのバランスが熟慮された広い区画


(6)各戸にある雨水タンク

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写真6 各戸にある雨水タンク


(7)高台の大タンク

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写真7 高台の大タンク


(8)ドーム型ハウス

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写真8 ドーム型ハウス

 CWをエコ・ビレッジとしてデザインし直す構想が持ちあがるまでには、さらに15年の歳月が必要となる。1985年、名前の由来となった清流、メアリー川に面した259ヘクタールの広大な土地を対象に開発の認可がおりた。
 ここはもともと、78年にボブ・サンプルが設立したコミューンで、50人ほどのヒッピーたちが共同生活を営んでいた。しかし、自治体の正式な居住許可がなかったため、ボブはパーマカルチャー・デザイナーとして活動をはじめていたマックス・リンデガーらに相談し、エコロジカルな共同体としてデザインし直すことにしたのだ。
 計画は4年の歳月を経て、88年に完成する。グランドデザインには、川の水域や植物相などの生態系を重視するバイオリージョンという考え方が導入された。川沿いの土地は開墾され畑に生まれ変わり、丘一帯は自然のエリアとして、新たに5000本の木が植えられた。畑と森の間は居住区で、区画同士が細い一本の道で結ばれた。路肩は意図的にきっちり舗装されていないため、シャープさがなく、自然の景色によく馴染む。また、車のスピードも自ずと控えめになる。(写真2)(写真3)(写真4)


 全77区画。現在CWには、84歳から生後5ヶ月の赤ん坊まで230人が暮らしている。うち7名は年金生活者で、27世帯はバリーも含め単身者だそうだ。こどもは90人。オーストラリアのほか、イギリス、ポーランド、フランス、アメリカ、カナダ、中国、ニュージーランドの国籍を持つ。

 一区画は1200坪前後と、非常にゆったりしている。バリーはこの広さを、プライバシーの確保と隣人との助けあいのバランスを考え決めたという。(写真5)
 当初2万ドルだった一区画は、今では10万ドルに値あがりしている。実際に買う場合、家屋や家具、付帯設備分が加算され、20〜28万ドルにもなる。そのほかに、管理・共益費が年間1000ドル、国に支払う固定資産税が年間700ドル必要だ。
 ひとりが購入できるのは一区画のみで、それ以上は認められていない。自分で住むのが条件というわけだ。
 もうひとつ、購入にあたり守らなければならない要件がある。CWには上水道設備がなく、飲料水やシャワーなどは各家で雨水を濾過して使う。このため、雨水タンクの設置が義務づけられているのだ。(写真6)メアリー川の水も高台の大タンクに汲みあげられ、およそ10世帯単位で給水される。(写真7)川の水は、おもに庭や畑への散水に使われる。
 電気は発電所からの送電があり、電線は道路沿いの地中に埋められている。ほとんどの家が発電機を備え、ソーラー発電をしている家も7軒ある。うち2軒は完全に太陽光発電のみで電力をまかない、余った電気は発電所へ売電される。平均すると、使用量全体の25%を外部からの供給に頼っている。
 ガスは各戸ともプロパンガスの設備を備え、同時に薪も使われる。
 ほかにも、省エネの工夫が様々に凝らされている。屋根一面に芝やハーブが植えられている芝屋根。藁ブロックでつくるストローベイル・ハウス。マッド・ブリックという日干し煉瓦や断熱性に富んだラムドアース工法の家。風と気の流れを計算しつくしたドーム型ハウスなどが挙げられる。(写真8)

 コンポスト・システムも普及している。生ゴミや糞尿から堆肥をつくるこのシステムは、後に訪れるマレニーの隣村に住む発明家、ディーン・キャメロン氏のバイオリテックス社により開発された。彼の考案したコンポスト・システムは、初代ドライ式からウェット式に改良され、やっと20年完全保証の安定したシステムになったという。2005年の愛知万博オーストラリア館でもこのシステムが紹介され、名前は聞けなかったが賞を受賞したそうだ。
 仕組みは非常にシンプル。地中に埋められた大きな浄化槽タンクに、台所からでる残飯やトイレの汚物が流し込まれる。それらは下に沈むにつれ浄化され、やがて水分だけとなり最下部から排出される。固形物はいっさいでない。
 この夢のようなシステムのからくりを説明しよう。まず、直径3〜4cmのプラスチック・パイプを10cmぐらいの長さに輪切りにし、オレンジを入れるときに使うネットにぎっしり詰める。これをいくつかタンクに入れ、半分ぐらいまで満たす。次に、同じネットに、輪切りのパイプとココナッツ・ファイバーを半分ずつ詰めたものを入れる。タンクの残りの空間が四分の一ぐらいになったら、その上からたくさんのシマミミズを放つ。内部の仕組みはこれだけ。
 流入物はシマミミズによりすべて分解され、透明な液体だけが30分で下の排水口にたどり着く。液体は直径15〜20mmの排水パイプで果樹園まで運ばれ、地中散水される。トイレの水として再利用することも可能だが、バクテリアの関係で、庭などへの空中散水はできない。
 ミミズはシマミミズしか適さない。シマミミズの生存環境は大変デリケートで、乾燥しすぎても水気が多すぎても死んでしまう。タンク内の空間を、常に湿り気のあるモイスト状態に保つことが必要だ。毎日使用しない集会所などのタンクは、スプリンクラーでの湿度調節がおこなわれている。万が一、湿度のバランスが崩れシマミミズが死んでしまうと、流入物は分解されずに溜まるいっぽうとなり、やがて溢れだす。これを防ぐためバイオリテックス社は、タンク上部に設置された監視カメラと電話回線により、シマミミズの状態を24時間集中モニターしている。
 化学洗剤の使用はさけたほうがよく、ミミズに優しくすることが、地球環境を守ることに直結している。このシステムにかかる費用は、工事費込みでおよそ100万円だ。




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