図2-1 みついけプロジェクトの現況1 南西を望む(写真:齊木研究室、2006.5)

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図2-1 みついけプロジェクトの現況1 南西を望む(写真:齊木研究室、2006.5)


図2-2 みついけプロジェクトの現況2 東方を望む(写真:齊木研究室、2006.5)

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図2-2 みついけプロジェクトの現況2 東方を望む(写真:齊木研究室、2006.5)


図2-3 みついけプロジェクトの現況3 北方を望む(写真:齊木研究室、2006.5)

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図2-3 みついけプロジェクトの現況3 北方を望む(写真:齊木研究室、2006.5)


図2-4 みついけプロジェクトの現況4 西方を望む(写真:齊木研究室、2006.5)

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図2-4 みついけプロジェクトの現況4 西方を望む(写真:齊木研究室、2006.5)

2.まとめ−「ガーデンシティ舞多聞」みついけプロジェクトの今後の課題

 「ガーデンシティ舞多聞」みついけプロジェクトでは、歴史的経験に裏づけられたゆとりある敷地と自然豊かな「住空間のデザイン」を提案し、新しい居住環境を求め続ける人々の関心を得ることができた。また、継続的な大学の公開講座やワークショップは入居希望者の居住環境の質への眼差しを育み、良好で持続可能な地域コミュニティづくりへの足掛かりを得ることもできた。しかし、一方で課題も残されている。


2−1 住宅デザインの課題

 道路計画や宅地割りで魅力ある空間デザインを提案できたとしても、そこに構成される住宅のデザインの評価が、住み続けるにしたがって価値の下がるものであったら、その地域コミュニティの持続可能性も低下してしまう。だが、現代の日本人の多くは自家用車や家具などの購入と同様の感覚で消費型の住宅デザインを選択してしまう傾向がある。私たちが持つ住宅のイメージを消費型からストック型へと転換し、より豊かな質の高いものにしていかなくてはならない。


2−2 コミュニティづくりの課題 

 もう一つの課題は、戦後の法制度が個人の財産を保障してきたことから、個の敷地内の整備に撤退した生活に慣らされた日本人が、どちらかというと「面倒なこと」とされてきた「まちづくり」「コミュニティ」「まちづくり協議会」といった、地域コミュニティづくりに参加することができ、「持続的なまちづくり」を定着させることができるのか、という課題である。


2−3 まちづくりの課題

 住宅建設が活発に行われている中、みついけの入居者間の協定とガイドラインに対する解釈の差が浮き彫りになっている。前記で述べたが、2005年11月に協定を確定する際に、一世帯の同意が得られなかったことによって、隣地境界からの建物の後退距離が、当初の目標であった2mから1mになった。「後退距離2m」はガイドラインに採り入れられ「努力目標」として扱われることになった。その際にガイドラインとしては、「2m以下とする場合はお隣との話し合いの場を持つ」ということを共有していた。しかし、実際に住宅建設が開始されると、法的規制である1mを基準とみなす世帯と、あくまで目標としてきた2mを基準とみなす世帯とで二分され、2006年5月に行われた住民集会では、この解釈の違いが議論を巻き起こした。その後の入居者の反応を見ると、既に始まっていた基礎工事を中断し1mから1.5mへと変更した世帯、隣家が1mまで迫って建てられることに困惑する世帯、あくまで1mを貫き通す世帯、隣家に1.3mから2mに変更することを懇願する世帯、と様々であった。住宅建設は今後2〜3年継続的に行われるが、その間、まちづくりアドバイザーとして「個の利益と共有の利益」という相反する命題に考慮しながら、住民間の調整を行っていくことが課題となる。


3. あとがき−新しい固有価値を生む居住環境づくりを目指して

 「自然と共存した居住空間デザイン」「持続的な地域コミュニティの形成」などを捉え直してみると、戦前までの日本の伝統的な居住空間には学ぶべきものが少なくない。
 「コミュニティデザイン」の一環として行ったワークショップの参加者の年齢層は、20代から80代と幅広く、特に熟年層は戦前までは当たり前に繰り広げられていた、「地域文化や風土に基づいた住まいづくり」「集まって住む」「永く住み続けるための工夫」といったコミュニティのあり方を実体験しており、そういった熟年層の体験談は若い世代から新鮮さと説得力をもって受け入れられている。  
 今後も新しく住まう人々と共に、「豊かな居住環境」「安心できる持続型コミュニティ」「地域の固有価値の創出」をねらいとし、周辺のオールドニュータウンと連携した、「新しい固有価値を生む居住環境づくり」を目指していきたい。



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