写真24 堂安集落全体(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真24 堂安集落全体(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真25 風雨橋(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真25 風雨橋(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真26 寨門(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真26 寨門(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真27 鼓楼(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真27 鼓楼(写真:齊木研究室 2005年9月)


図11 堂安集落立地環境

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図11 堂安集落立地環境


図12 増沖集落屋根伏・通路・水路図

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図12 増沖集落屋根伏・通路・水路図


写真28 水場(飲料水)(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真28 水場(飲料水)(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真29 水場(野菜洗い・洗濯)(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真29 水場(野菜洗い・洗濯)(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真30 水場(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真30 水場(写真:齊木研究室 2005年9月)


図13 堂安集落 鼓楼周辺広場・水系

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図13 堂安集落 鼓楼周辺広場・水系


写真31 薩壇(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真31 薩壇(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真32 鼓楼とその周辺(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真32 鼓楼とその周辺(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真33 鼓楼坪 - 集いの場(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真33 鼓楼坪 - 集いの場(写真:齊木研究室 2005年9月)


写真34 堂安トン族生態博物館(写真:齊木研究室 2005年9月)

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写真34 堂安トン族生態博物館(写真:齊木研究室 2005年9月)

3|貴州省黎平県堂安集落

3−1 集落の立地環境

 堂安集落は黎平県に位置し、美しい棚田の風景に溶け込むように伝統的なトン族の木造高床式住居が配置されている。(写真24)堂安は1378年に住居が建設され始め、約700年の歴史を持つ。現在165世帯、768人の人々が鼓楼建築を中心に2階〜3階建ての住宅に住んでいる。ここは「依山傍水=山と川の近くに位置する」集落であり、「背後に山・前面に池」の風水の教えに基づいた環境に立地している。
 堂安には8つの寨門(集落の入り口)がある。トン族の集落では風雨橋が集落の入り口を意味するが、ここでは風雨橋を渡りさらに奥へと進むと寨門が見えてくる。(写真25・26)堂安は周囲が山や棚田に囲まれ、増沖集落で見られたような集落範囲の境界がはっきりとしていない。そのため、門によって集落の内と外を明確に区別しているのではないかと考えられる。(図11・12)

3−2 伝統的空間-鼓楼

 鼓楼の造営に際しては、統一的な様式及び尺度規定はなく、各地で見られる鼓楼は多種多様である。しかし、その底流には原則的な設計思想を読み取ることができる。鼓楼は平面から見ると四・六・八辺形というように偶数辺になり、立面から見ると層数は1・3・5・7層というように奇数層とされている。堂安の鼓楼は高さ22m、四辺形の9層であり12本の柱によって構成されている。
 鼓楼は同じ姓を持つ一族が各村に一棟を持つと言われ、建てられているというよりは村人が共有している、という意識が強い。近くには必ず「水」が湧き、水を汲みに人々が集まる。鼓楼は集落のシンボルであり、集会所であり、祭りの場でもある。また、外部からの客を迎える場として利用されている。(写真27)

3−3 水利用と生活技術

 トン族の文化には水が深く関わっており、とても大切に使用されている。堂安集落の鼓楼が立地する場所に導かれる水は、道教の神仙思想で言う崑崙山から流れているとされ、水源の近くに崑崙山のミニチュアである薩壇(sa-tan)を祭っている。薩壇のすぐ側には人々の生活を支える水が溢れ、そこから集落内の水路を流れていく。(写真28)水は鮮度によって数段階の使い分けが行われており、鼓楼周辺の広場を中心として水路が分かれている。(写真29・30)そのため、鼓楼周辺では常に人々の行きかう姿が見られ、水路・鼓楼・広場は人々の交流の場となっている。
水の鮮度順に表記すると、(図13)
1)飲料水・料理に使用する水
  洗髪・歯磨き用(バケツで汲み取り別の場所で使用する)
2)野菜、果物を洗う
3)洗濯物を洗う
4)汚れたバケツ、靴などを洗う
5)洗濯物を洗う
6) 7)は溜池・・水の使用はほとんど行われない

1)の水はバケツで汲んで帰り、住居内の桶に溜めて使用しているところもある。また、上流のきれいな水を水道管で住宅内部まで引いて使用している世帯もある。バケツで水を汲みに行く作業は主に家事をしている女性や子供たちが担当している。

3−4 コミュニティ空間とその広がり

 鼓楼の前には必ず「鼓楼坪」と呼ばれる広場と「劇台」という舞台が配置され、鼓楼と合わせてこの3つの空間が村の公的な空間として機能している。(写真32・33)
 薩壇とは、薩歳と呼ばれるトン族共通の始祖神が祀られた空間である。(写真31)薩壇では正月の三日と七日、春の播種前の二月七日、秋の収穫前の八月七日に盛大な祭祀が行われる。
 堂安では鼓楼坪に絶えず人の姿があり、活気に満ちている。老人たちはおしゃべりを楽しみ、子供たちは走り回っている。そのすぐそばを流れる水路では野菜を洗う女性たちの姿があり、広場の入り口では男性が豚を解体している。人々は鼓楼内部で集うのではなく、鼓楼を中心とした広い共有空間を有効に使っている。
 トン族は文字を持たず、文化や信仰は全て口承で伝えられていく。堂安もまた、約700年の間生き続けていく知恵が継承されてきた。そのようなトン族の暮らしや民俗習慣を紹介する博物館「貴州堂安トン族生態博物館」が2005年6月、約10年の歳月を経て堂安集落内につくられた。(写真34)トン族の伝統的な建築技術に基づいて作られたこの資料館は、歴史・伝統・技術・現代文明の経緯を知ることができる。



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