報告|REPORT

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東アジアの稲作文化における集落・居住空間と伝統的環境観に関する国際比較
-中国貴州省トン族集落における風水観と住居・鼓楼・水系・広場が生み出す空間構成原理-

International Comparative Study on the Settlements & Residential Spaces and Historical Viewpoint of Environment based on the Rice Farming Culture in East Asia
-The Viewpoint of Feng- Shui, and Spatial Composition System composed by residences, Gu-Lou(Drum-Tower), Water System, and Common Spaces in Dong zu Villages, Gui Zhou, China-


齊木崇人

SAIKI, Takahito Professor, Graduate School of Design Research


土肥博至

DOHI,Hiroshi Professor, Graduate School of Design Research


川北健雄

KAWAKITA,Takeo
Associate Professor ,Department of Enviromental Design, School of Design


山之内誠

YAMANOUCHI,Makoto
Associate Professor,Department of Enviromental Design, School of Design


藤本修三

FUJIMOTO,Syuzo
Professor ,Department of Plastic Arts, School of Progressive Arts


戸矢崎満男

TOYAZAKI,Mitsuo
Professor,Department of Fashion and Textile Design, School of Design


黄 国賓

HUANG,Kuopin Part-time Lecturer, Graduate School of Design Research


柳沢究

YANAGISAWA,Kiwamu Research Associate ,Graduate School of Design Research


長野真紀

NAGANO,Maki 
The Design Theory Division(Doctoral Course),
Graduate School of Design Research at Kobe Design University




写真1 中国貴州省 棚田の風景(写真:齊木研究室 2005年9月

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写真1 中国貴州省 棚田の風景(写真:齊木研究室 2005年9月


図1 中国全体図

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図1 中国全体図


図2 研究概念図

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図2 研究概念図


図3 トン族集落立地図

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図3 トン族集落立地図


図4 調査行程図

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図4 調査行程図

0|はじめに

 本研究は、中国貴州省の自然と共存してきた集落・居住空間の構成原理と地域固有の伝統的環境観の実態把握を通して、東アジア地域に見られる歴史を経て生き続けてきた集落空間の集合システムと、固有の伝統的居住空間が持つ環境観を考究することを目的とする。(写真1)(図1)
 現在、アジア諸国では伝統文化の解体や生活習慣の多様化に伴い、居住環境は変容し続けている。急速な近代化による無秩序な土地利用や地域コミュニティの崩壊などにより精神的な豊かさが枯渇し、持続性とゆとりある住環境システムを失いつつある。特に土地との強い結びつきを持った地域固有の伝統的な建築が徐々に失われ、環境や風土に適応しない住居の建設が住環境(自然・文化・家族)を侵食し始めている。
 一方、東アジア地域の人間と自然が共存する文化生態は、今日でも多くの共通性と固有価値を持ちながら存続しており、現在その固有価値の重要性が再評価されている。そこには場所を選び「住む」ことに関する原初的な空間構成と要素が、自然の潜在力を生かした伝統文化として生き続け、歴史的経験が積み重ねられている。そのような持続可能な地域の暮らしや空間が生み出す環境観は、時間を越えたエコロジカルな固有価値を持つ仕組みとして評価される。
 本研究ではそれらの地域固有の環境観や空間構成の原理を明らかにした成果を、それぞれの地域コミュニティに還元する。そして、現在の日本や東アジアの居住環境が共通して抱えるコミュニティの再生や、住環境の改善への具体的モデルの提案を行うことを達成目標とし、将来のアジアのデザイン文化への貢献と豊かな居住環境構築の実践に還元できるものと位置づけている。

【地域の固有価値論とは】 
 集落の自然環境が持つ固有性を基礎に、それを生かす人々の創造性とその成果の生活や生産活動への広がりを、集落コミュニティの持続と発展の原動力として理解する。その上で、過去の建造物等の物質的成果と文化的・精神的成果を、集落社会やコミュニティの伝統・記憶の中で位置づける。そして、生産活動がもたらす個々の収益が社会の固有価値を享受するための学習や教育の機会を拡大し、一人一人のその成果が結果的に社会に還元されることを指す。
 居住環境は集落の構成員がそれぞれに固有の住居をつくり出し、そこから生み出される成果を社会に還元する。本研究では集落コミュニティにとっての新たな土地や建築物、生活用品、表物、芸術品などの活用方法を社会共通の資産として位置づけ、蓄積のプロセスを解明する。
【研究の方法】
 本研究は東アジアの伝統的集落や居住環境の空間構成原理に見る1.「立地環境(ところ)」2.「生活・文化(営み)」3.「建築(かたち)」に主眼を置き、集落と居住空間の持続要因を明らかにする。(図2)
 東アジアの文化生態には持続可能な地域の暮らしが生きており、その場所が持つ力は、土地選定・利用、定住化の技術に大きな影響力を持っている。また、生活を営んでいく中で切り離すことのできないコミュニティ・組織運営の技術は人々の暮らしに深く関わっており、共同で住むための知恵が生きづいている。研究の対象となる「土地利用」「集落コミュニティ」「住居と共同施設」の理解を通して、東アジアの「伝統的環境観」と集落・居住空間の構成原理について読み解いていく。(図3)

 本研究では2005年9月1日から8日にかけて、トン族が多く居住する中国貴州省従江県増沖、黎平県肇興村、黎平県堂安集落を巡り、現地滞在型の調査を行った。(図4)

9月1日:神戸〜桂林
9月2日:桂林-龍江-榕江
9月3日:榕江-増沖
9月4日:増沖
9月5日:増沖-肇興-堂安
9月6日:堂安
9月7日:堂安-三江-桂林
9月8日:桂林〜神戸



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