報告|REPORT

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「ポール・ポワレの衣服デザインにおける美的規範の変化に関する構造上の調査」
2004年度短期海外研究の報告

“Structural investigation about a change of an aesthetic model in clothes design of Paul Poiret” - A report of a 2004 for a short term overseas study -


野口正孝

NOGUCHI, Masataka Professor, Department of Fashion and Textile Design





1. はじめに

2004年短期海外研究の目的のひとつとして、現代ファッションデザインに見られる「アンチ・エレガンス」とも言えるデザイン動向を一時的な現象として捉えず、20世紀のファッションデザイン史における革新的デザインの中にその類型を見いだし、時代背景と美的規範の変化の推移についての調査を行った。本稿では、20世紀初頭、ファッションにおいて革新的デザインを提示したポール・ポワレの衣装の構造の中に現れた美的規範の変化について調査した内容の報告を行う。
20世紀初頭、女性のファッションデザインにおける美的規範は、19世紀より続くアールヌーヴォー様式のファッションで、身体をコルセットによりS字型に歪曲する極めて人工的な身体感覚を持ち、豪華な素材を用いて過多な装飾を行う旧来的な「優雅さ=エレガンス」を求めるものであった。その時代にポール・ポワレは、シンプルな装飾で自然な身体感覚をもつデザインを提示した。当初、彼の提示したものはこれまでの美的規範と異なり、貧相で「優雅さ」に欠けるものと見られ、容易に受け入れられなかった。しかし、彼の衣服デザインは、時代の変化の中で徐々に認められ20世紀の標準となる新しい美的規範となっていった。
衣服の構造は、その制作に対する考えを何よりにも増して現していると考え、ポワレの初期の作品の調査を行った。本調査はパリ市モードとコスチューム美術館(Musée de la mode et du costume de la ville de Paris)の図書館と同美術館の衣装を保管している図書館技術サービス/パリ文化機構(Service technique des bibliothèque / Agence Culturelle de Paris)において行った。同美術館は、ポール・ポワレの衣装を多数コレクションしており、ポール・ポワレ展「POUL POIRET ET NICOLE GROULT」を1986年に開催している。


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