4.ガーデンシティ舞多聞の自然環境の特徴-調査

スタディに先立ち、当該地の自然が持っている特徴や、その潜在能力-ポテンシャルを明らかにすることを目的とし、調査を実施した(調査実施期間 ; 2004年4月〜6月)。調査は大きく分けて、文献調査と現地調査からなる。自然環境を構成する要素は様々であるが、本調査では特に樹木に着目して実施した。これは踏査の結果から、樹木が、当該地においてもっとも強く知覚される(視知覚をもたらす)要素であり、かつ当該地の光や水等の自然条件を反映した要素であること、よって、自然を可視化する「エコロジカル・デザイン」の達成において有効な対象であると判断されたことによる*6*7。特に現地調査においては、1本1本の樹木や、樹林のヴォリュームを捉えることを調査目的に含め、調査方法を選択した。


図5-現地調査実施箇所

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図5-現地調査実施箇所

4-1 調査の概要

4-1-1 文献調査
本事業に関する資料を収集し、本プロジェクトの計画概要を把握した。また、本事業の環境アセスメント調査結果や、空中写真、六甲山系の自然植生に関する文献収集を行い、当該地を含む地域の植生等、自然の特徴の把握に努めた。

4-1-2 現地調査  
現地調査として、毎木調査ならびに植生基本調査を実施した。特に毎木調査においては、その調査項目は、ヴォリューム(空間構成)、樹種構成、材の蓄積の3つの視点から、以下のように設定した。

ヴォリューム : 水平位置の同定(コンパス測量)、樹高、樹冠
樹林の樹種構成 : 樹種の同定
材の蓄積 : 胸高直径(DBH)
また、サンプル対象は、幹周11cm以上(胸高直径3.5cm以上)の木本とした。調査目的に従えば、大径木のサンプリングのみで十分であるが、階層構造や以後の管理の検討材料を収集することを考慮した。
なお、現地調査の対象区域は「図5」の通り。



図6-「ガーデンシティ舞多聞」周辺の自然環境

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図6-「ガーデンシティ舞多聞」周辺の自然環境


4-2 自然環境の特徴-ポテンシャルの概要

調査結果を踏まえ、広域的および「舞多聞みついけゾーン」それぞれの自然環境の特徴-ポテンシャルを検討した。ここでは特に、後述の提案に係る結果を述べる。先ずは、広域的な自然環境について、次いで「舞多聞みついけゾーン」が有する自然環境のうちの、樹林の状況についてである。

4-2-1 広域的な自然環境
「ガーデンシティ舞多聞」の周辺は市街化が進んでおり、南部・東部・西部の3面は既成市街地と接している。また北部は、サン神戸ゴルフガーデンから続く樹林と、高速自動車道(第二神明道路北線)に面している。また、本住宅地を含む「ガーデンシティ舞多聞」周辺の自然環境(田畑等の生産緑地を除く)の分布状況を、「図6」に示す。ここから、本計画地が有している樹林は、周辺住民が享受する自然環境の一端を担っていたことが伺われる。また、周囲の緑地の状況としては、山田川(三ツ池川)を除けば、一点集中型の緑地や公園、ゴルフ場や墓園といった囲い込み型の自然環境が多く提供されているといえよう。特に、個々の住宅と自然資源との関係や、樹林等の緑の連続性という視点からは疑問が残る。
以上から、本プロジェクトは、少なからず自然環境の改変を伴うものであるが、その内容として、自然環境と住宅地との新たな関係のあり方についての提案が求められているといえる。本計画地での検討課題として、広域的には、自然資源のネットワーク化などにより、自然のポテンシャルを高める契機となることがある(8)。一方、ネットワークを構成する個別の住宅地においては、身近な自然の確保、すなわち本プロジェクトが掲げる他自然型の住空間の実現がある。


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