3-2-4 ファッションデザイン学科 実践事例-1
 
「特別プロジェクトI」では、4年次学生・3年次学生・研究生16名を対象にPETボトルの再生繊維を用いたエコ制服の制作をおこなった。2003年7月19日(土)より10月14日(火)まで神戸ファッション美術館において「神戸ライフスタイル展」が開催された。この展覧会は、神戸市ファッション都市宣言30周年を記念した行事として神戸市等の主催により行われたもので、「情報」「環境」「ユニバーサル」をテーマに「ファッション都市神戸の未来」の提案が行われた。本学ではファッションデザイン学科学生、教員により、「環境」をテーマに「PETボトルの再生繊維を用いたエコ制服」の制作、およびその展示を行った。デザイン、衣服設計、縫製指示は学生が行い、縫製は制服業者の尾崎商事株式会社に協力を依頼し、産官学協力のプロジェクトとして16体の「エコ制服」モデルの提案を行った。デザインテーマは、1.神戸エレガンス2.シンプル・モダン3.ネオトラッド4.スポーツである。指導教員は、ファッションデザイン学科 佐々木熙、見寺貞子、野口正孝が担当した。
展示期間が3ヶ月に及んだため、16体の作品を前後期に分け8体ずつを展示した。展示に際してペットボトルから制服に至るまでの「エコ制服」製造の流れを実際の材料を用いて説明するパネルの展示を行った。これまでペットボトルの廃棄物から作られる再生繊維は品質的に良いものではないというイメージがあり、学生は自ら進んで再生繊維を使うことはなかった。しかし、今回「エコ制服」のデザイン制作を行うにあたり、再生繊維を使ったデザインの可能性に関し学生が正面から向き合うことができたのは大きな収穫であった。そして、デザインを行う中で実際に再生繊維を触り、制作する中で再生繊維が見劣りしないだけでなく、通常のポリエステル繊維より高品質の素材でありことを発見できたのも、デザイナーを目指す学生にとって良い機会であった。「エコ制服」は、再生繊維を使うことによる地球資源の有効利用が行えることのみならず、着用する生徒が自然に地球環境に対し関心を持つことができるという教育的な効果があることから、今後の発展が望まれる。
(Fig-37・Fig-38・Fig-39・Fig-40)

Fig-37 神戸ライフスタイル展学生作品「エコ制服」

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Fig-37 神戸ライフスタイル展 学生作品「エコ制服」

Fig-38 神戸ライフスタイル展学生作品「エコ制服」

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Fig-38 神戸ライフスタイル展 学生作品「エコ制服」




Fig-39 神戸ライフスタイル展「エコ制服」の製造の流れを説明しているパネル

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Fig-39 神戸ライフスタイル展「エコ制服」の製造の流れを説明しているパネル

Fig-40 神戸ライフスタイル展 展示準備風景

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Fig-40 神戸ライフスタイル展 展示準備風景





以下に「特別プロジェクトI」に参加した留学生の感想を付記する。
●エコ制服制作に参加して
大学院研究科総合デザイン専攻修士課程2年 裴 修演 べ スヨン
第一の感想は身近なゴミであるペットボトルから品質の高い衣服材料ができることに驚き、エコ素材の可能性と環境問題に興味を持つようになったことである。エコ制服の意義は、私のように、この制服に接するコトによりエコロジーに関心を持つきっかけになるということである。
第二にファッションデザインにおけるエコ・ファッションの普及の難しさである。教育的効果があると認識されているにもかかわらず、「エコ制服」の普及は、数パーセントに満たないばかりか、再生繊維を使ったとしても敢えてその表示をしないという。それは再生繊維という言葉につきまとう「安物」のイメージに関係しているためであろう。イメージを売るファッションに取ってイメージの悪さは決定的なダメージである。エコ制服に限らず、エコ・ファッションの普及には、イメージアップに繋がるコトのデザインの必要性を感じた。再生紙を利用した名刺や封筒は、その作っている企業のイメージを上げることに貢献しているので不可能ではないはずだ。地球規模の資源の枯渇、環境の悪化は人類共通の大問題であり、その改善なしにファッションデザインの未来はない。デザインを行うものにとってこのようなことを考える機会を持てたことが最大の成果であった。


3-2-5 ファッションデザイン学科 実践事例-2 

特別プロジェクトIIでは、4年生・研究生を対象に「廃棄物を利用したデザイン制作とその展示」を行った。衣料用皮革、鞄などの小物皮革、衣料用残反などの廃棄物を使用して、衣服、ファンション小物の制作を行った。作品は、プロダクトデザイン学科と合同で、2004年3月22日(月)〜26日(金)まで本学KDUギャラリーにて展示した。指導教員は、ファッションデザイン学科、佐々木熙、山口惠子、見寺貞子、野口正孝が担当した。
廃棄物を利用したファッションデザイン制作は、素材の持っている自然な味わいを生かし、古着感覚を持ち、ぬくもりを感じるファッションの傾向と相まって、学生にデザインの可能性の幅を気づかせることができたと思われる。切りっぱなしの不規則な表情を持つ布端、穴の空いた革、限定された大きさの布等は工業的生産においては必ずしも使いやすい素材ではないが、それらを素材のデメリットとして考えるのではなく、その素材を生かしたデザイン制作を行うことは「もの作り」の原点であることに改めて気づかされた。その意味において学生にとって今回の廃棄物を利用したデザイン制作の演習は新鮮なもの作りの体験となった。(Fig-41・Fig-42・Fig-43・Fig-44・Fig-45・Fig-46・Fig-47)


Fig-41 衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作

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Fig-41 衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作

Fig-42 鞄用の皮革および衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作、パンツはジーンズの残反を使用

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Fig-42 鞄用の皮革および衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作、パンツはジーンズの残反を使用





Fig-43 衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作

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Fig-43 衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作

Fig-44 衣類用のはぎれを用いて小物と衣服制作

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Fig-44 衣類用のはぎれを用いて小物と衣服制作





Fig-45 衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作

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Fig-45 衣類用皮革の廃棄物を用いて衣服制作

Fig-46 壁掛けは、デニムの残反を脱色プリントした作品 

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Fig-46 壁掛けは、デニムの残反を脱色プリントした作品 




Fig-47 KDUギャラリーにおいて両学科合同の展示会を行った

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Fig-47 KDUギャラリーにおいて両学科合同の展示会を行った



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