図4-1 住宅デザインワークショップの様子 (写真:齊木研究室 2005.1)

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図4-1 住宅デザインワークショップの様子 (写真:齊木研究室 2005.1)


図4-2 住宅デザインワークショップにおける参加者の様子(写真:齊木研究室 2005.1)

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図4-2 住宅デザインワークショップにおける参加者の様子(写真:齊木研究室 2005.1)


図4-3 入居までのスケジュール(写真:齊木研究室 2005.1)

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図4-3 入居までのスケジュール(写真:齊木研究室 2005.1)


図4-4 ヒアリングの様子 (写真:齊木研究室 2005.1)

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図4-4 ヒアリングの様子 (写真:齊木研究室 2005.1)


図4-5 ワークショップで出された課題や意見(写真:齊木研究室 2005.1)

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図4-5 ワークショップで出された課題や意見(写真:齊木研究室 2005.1)


図4-6 ワークショップでの意見をまとめて完成した配置図(齊木研究室作成)

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図4-6 ワークショップでの意見をまとめて完成した配置図(齊木研究室作成)


図4-7 ワークショップの成果物  (CG作成:ヒメネス)

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図4-7 ワークショップの成果物
(CG作成:ヒメネス)

4|みついけプロジェクトの住まいづくり

本章では、みついけプロジェクトの住まいづくりについて言及する。第1節では、2005年1月に試験的に行われた、eコミュニティのグループ募集で当選した世帯を対象とした、住宅デザインのワークショップについて、第2節では、2005年2月から7月まで行われた、みついけプロジェクト入居予定の全世帯を対象とした、住宅デザイン個別ヒアリングについて言及する。



4-1 住宅デザインワークショップ (eコミュニティによるテストケース)


4-1-1 住宅デザインワークショップの主旨
2005年1月23日、齊木研究室の主催により神戸芸術工科大学大学院棟において、グループ別の住宅デザインワークショップが行われた。このワークショップは、後に行われる住宅デザイン個別ヒアリングとコミュニティワークショップの準備作業と位置づけ、グループ募集に当選したうちの1つのグループ(6世帯)のみで試験的に行われた。このグループの6世帯は当選したグループの中でも強力なリーダーシップと結束力により、公開講座やワークショップの時以外でも積極的に会合を持つなど、自主性の高いグループとなっていたが、今回のワークショップも当選確定直後からのグループの要望で実現した。(図4-1、2)。

4-1-2 当日の流れ
1)今後のスケジュールについての説明
(1)設計から工事着工・入居までの流れ
当日のワークショップはまず着工までの今後の全体の流れが説明された。スケジュールは2005年5月中旬までに各グループの基本構想と資金計画・ライフプランニングのサポート、その後11月の中旬まで基本設計と設計者の選定を行う。その後2006年3月までに実施設計、施工業者の選定、確認申請を行い(造成完工前の申請が可能であれば)、造成完了後の4月に着工、9月入居といった流れになる。


(2)住宅デザインのスケジュールについて
次に住宅デザインの今後の流れが説明された。(図4-3)また、コミュニティワークショップは2ヶ月に1回の割合で行われるが、グループ或いは個別のサポート齊木研究室において適宜行っていく。


2)グループ協定書の確認作業
ワークショップはまずグループが応募の際に提出した、「住宅」「コミュニティ」「自然環境」のルールづくりに関する「グループ協定書」の確認作業から始まった。このグループは結束力の強さからか、「内容を細かくつくり上げ過ぎている」観がある。ここでは「当初から必要なルール」と「後から組み立てるルール」を確認し、まずは必要最低限の項目からなるルールづくりを行い、必要なものは適宜加えていくことによって、「ルールに縛られないルールづくり」を目指すことが求められる。


3)個別ヒアリング
続いて個別のヒアリングが行われた。転居の時期、家族構成、必要な空間量、大まかな住宅の雰囲気(和風など)、資金計画といった項目が話し合われた。それぞれの内容の詳細の度合いは世帯間で幅があったが、今回は初回ということで、大まかな部分の把握に努めることとした。ヒアリングは次回の打ち合わせ内容を確認した上で順次終了した。(図4-4)


4)ワークショップ
1世帯づつ個別ヒアリングが行われている間は残りの5世帯でワークショップが行われた。話し合われた内容は、(1)グループ協定の内容をどう簡素化するか、(2)まちなみに関すること、(3)コミュニティの目指す姿、(4)住宅に関すること、といったことが挙げられた。(図4-5)


5)個別募集の世帯の迎え方
このグループは全11世帯あるうちの6世帯がグループ募集、残りの5世帯は個別募集のエリアとなっている。個別募集で当選した世帯の内訳は、当時は都市機構による審査中のため明かされていなかったが、応募倍率(20.6倍)からその多くは「みついけプロジェクト」が現在まで進めてきたシステムの内容の詳細は分からぬまま、2005年2月26日に行われる第1回のコミュニティワークショップに参加することになることが予想されていた。(その後、個別募集で当選した全5世帯が当該していたことが判明)このグループではコミュニティワークショップに先立ち、2005年2月20日に、グループ募集と個別募集それぞれで当選した世帯(11世帯)が集まる機会を持ち、初顔合わせを行うことで双方の融和に努めることを自主的に提案した。(後に、都市機構より「他のコミュニティとの平等性に欠く」という理由から、この提案は実現せず、第1回コミュニティワークショップで、他のコミュニティと同時に初顔合わせを行った)

4-1-4 住宅デザインワークショップの成果物(CG及び模型)
ヒアリングの内容を受けて、齊木研究室では6世帯の住宅設計に取り掛かった。個々の要望を採り入れつつ、前面道路からのセットバック、隣棟間隔、隣地境界から建物までの距離、駐車場の配置、シンボルツリー(家の木、まちの木)の配置、建物の表情(ファサード)の関連性、屋根のデザイン、といったことを念頭に、全体のバランスを考慮しながら計画した。(図4-6)
その後、ここでの成果物は、住宅は無論、前面道路や斜面地を含むコミュニティの全体像がコンピューターグラフィックスと模型によって表現され、2005年2月に行われた、舞多聞の公開講座とみついけコミュニティワークショップにおいて、参加者に紹介された。これにより、みついけプロジェクトが目指す住まいづくりの方向性を示すことができた。(図4-7)


図4-8 セットバックや「まちの木」「家の木」を提案(齊木研究室作成)

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図4-8 セットバックや「まちの木」「家の木」を提案(齊木研究室作成)


図4-9 セットバックや「まちの木」を断面でスタディする(齊木研究室作成)

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図4-9 セットバックや「まちの木」を断面でスタディする(齊木研究室作成)


図4-10 神戸市内の民家をスタディする(立面)(齊木研究室作成)

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図4-10 神戸市内の民家をスタディする(立面)(齊木研究室作成)


図4-11 神戸市内の民家をスタディする(平面)(齊木研究室作成)

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図4-11 神戸市内の民家をスタディする(平面)(齊木研究室作成)


図4-12 住宅参考プラン作成のためのアンケート(齊木研究室作成)

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図4-12 住宅参考プラン作成のためのアンケート(齊木研究室作成)


図4-13 家づくりサポートのステップ (齊木研究室作成)

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図4-13 家づくりサポートのステップ (齊木研究室作成)


図4-14 アンケート配布、ヒアリングからプラン作成までの作業内容 (齊木研究室作成)

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図4-14 アンケート配布、ヒアリングからプラン作成までの作業内容 (齊木研究室作成)


図4-15 住宅参考プランヒアリングにより完成した配置図 (齊木研究室作成)

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図4-15 住宅参考プランヒアリングにより完成した配置図 (齊木研究室作成)


図4-16 住宅プラン個別ヒアリングに関するアンケート (齊木研究室作成)

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図4-16 住宅プラン個別ヒアリングに関するアンケート (齊木研究室作成)


図4-17 齊木研究室におけるヒアリングの様子(写真:齊木研究室 2005.6)

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図4-17 齊木研究室におけるヒアリングの様子(写真:齊木研究室 2005.6)


図4-18 住宅プラン個別ヒアリングににより完成したみついけ全体の平面図と模型 (写真:齊木研究室 2005.7)

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図4-19 住宅プラン個別ヒアリングににより完成したみついけ全体の平面図と模型 (写真:齊木研究室 2005.7)

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図4-18.19 住宅プラン個別ヒアリングににより完成したみついけ全体の平面図と模型 (写真:齊木研究室 2005.7)

4-2 住宅デザイン個別ヒアリングの実践


住宅デザインワークショップ終了後、齊木研究室では、みついけの全入居予定世帯を対象とした、住宅デザイン個別ヒアリングの準備に取り掛かった。

4-2-1 住宅デザイン個別ヒアリングの主旨
住宅デザイン個別ヒアリングを行う主な目的は、
(1)現代の日本では、プレハブメーカーによる住まいづくりが主流となっている。しかし、プレハブメーカーの提案する住宅デザインの多くは、既存のグリッド型で平坦なニュータウンの敷地に当てはめられるように提案されており、プラン・外観共にみついけプロジェクトの掲げる住まいづくりに応えられる可能性が低い。
(2)みついけコミュニティワークショップの中でルールづくりを行う際に、個々の実際の住宅プランが無いままに検討を進めて行くと、ルールそのものが「机上の空論」になる可能性がある
以上のような課題を解決することを目的として行われた。また、これらの課題に対しては都市機構の事業部も同様の懸念を抱いていた。
なお、ヒアリングを通じて齊木研究室から提案される住宅プランは、各入居者が建築家や工務店に実施設計を依頼する際に「参考プラン」として扱われるものであり、必ず従わなくてはならないものではない。また、ヒアリングは全世帯必須ではなく、希望世帯のみを対象とした。

4-2-2 住宅とその周辺のデザインのチェックリスト
齊木研究室では、住宅デザイン個別ヒアリングの実践を控え、デザインを行う際に検討すべき課題を整理した。(図4-8〜11)
(1)セットバック
道路境界線は各区画の平坦部の20%分をセットバックし、オープンスペースを確保する。これは宅地内道路に歩道が敷設されないことを受けて、各区画の住民が敷設・管理をする「宅地内歩道」として提供をしてもらうことと、視覚的な開放感を与えることを目的としている。
(2)コミュニティ内の調和
隣家や向かいの家に対し、お互いに建物や間取の配置、開口部、駐車場への配慮をし、コミュニティ内の調和を図る。
(3)隣棟間隔
一定の隣棟間隔を空け、コミュニティ内の開放感を維持し、隣地境界周辺と建物の間(犬走り等)のデッドスペース化を避ける。
(4)隣地境界
隣地境界の生垣の高さの調節によって、私的空間と半公的空間の住み分けを行う。
(5)緑化
オープンスペースや前庭は半公的空間とみなし、花壇または菜園の配置や、街路樹(まちの木)やシンボルツリー(家の木)の植栽をし、緑化を行う。
(6)住宅の表情
アプローチやポーチ、玄関は人を迎え入れるような表情づくりをする。
(7)自然と建物の一体化
デッキ・縁側の設置や開口部のデザインの工夫によって、建物⇔内庭⇔緑地、というつながりを確保し、敷地内に取り込まれた緑地と建物に一体感を持たせる。
(8)農村の民家や城下町の屋敷構えに学ぶ
地域に受け継がれた歴史的要素を採り入れるために、齊木研究室では、神戸市内の農村に見られる、妻入り型民家の摂但(せったん)型や平入り型民家の播磨(はりま)型の空間構成や屋根の形態、そして日本の町屋の屋敷構えの構成要素をスタディしている。
(9)屋根のデザイン
屋根は日本建築の特徴である。各住宅における屋根の勾配の統一や棟高、軒先のライン、屋根葺き材の選択に留意する。また、日本の風土に培われた軒出の効用を見直し、その手法を積極的に採り入れる。
(10)建材・色彩
建材は自然素材を積極的に用いる。また、建材は自然素材・人工素材に関わらず、それらが持つ「素材感」を生かすようにする。色彩は人肌色を基調とし、緑地などの区域内に残される自然環境と各住宅間の調和を図る。
(11)持続可能な建物
建物は仮設的なものではなく、耐久性のあるものとし、またデザイン的にも年月と共に価値が増すような建物をつくる。また、各世帯のライフスタイルの変化に応じて増改築や「減築」が可能な可変性をもった建物をつくる。
(12)付属建物
駐車場はガレージをつくる場合は建物(主屋)と調和したデザインとする。オープンにする場合は前庭との調和に留意する。また、路上駐車を避けるために来客用等の駐車スペースを確保する。物置や離れを建てる場合はガレージ同様建物と調和したデザインとする。
(13)新しい科学技術
エコロジカルな視点や持続可能性を目的として開発された、新しいシステム、工法、素材などは検討を重ねた上で積極的に採用する柔軟性を持つ。

4-2-3 住宅デザイン個別ヒアリング
都市機構のサポートを受け、住宅デザイン個別ヒアリングが開始された。まず、2005年2月26日の第1回コミュニティワークショップにおいて、住宅プランに関するアンケートが配布された。(図4-12)


1)住宅プラン個別ヒアリング及びプランニングの流れ
アンケートの配布から受領、ヒアリング、及びプランニングは以下のようなスケジュールで行った。(図4-14)

2005年
2月26日:住宅設計カルテ(アンケート)配布
2月26日〜3月15日:住宅設計カルテ返信(55世帯から返信、後に7世帯追加され、計62世帯)
3月15日〜:ヒアリングの日程調整
3月19日〜4月30日:第1回個別ヒアリング
舞多聞みついけの経緯紹介
住宅のラフプラン作成
住宅イメージのスケッチ
ヒアリング内容の記録
4月1日〜5月20日:プラン・模型作成、全体調整
平面プランの作成(住宅・庭・隣地境界・ 植栽 など)
1/50、1/100の模型作成
5月21日(第2回みついけコミュニティワークショップ当日):住宅プラン(平面図・模型)提示
55世帯のプラン提示・ユーザーへの個別説明
5世帯の模型作成
プラン作成までのヒアリングの流れを紹介
5月22日〜:第2回ヒアリングの日程調整
5月26日〜7月3日:第2回個別ヒアリング
プラン確認と修正箇所のチェック・みついけ全体
プラン確認と住宅イメージのスケッチ
ヒアリング内容の記録
6月1日〜:住宅プラン・模修正、全体調整
プランの調整(住宅配置・生活動線・ 採光と通風・屋根形状 など)
1/50、1/100の模型作成
プランの修正(住宅配置・生活動線 など)
7月16日(第2回みついけコミュニティワークショップ当日):住宅プラン(平面・立面図)提供

以上のようなプロセスで住宅デザイン個別ヒアリングを行い、計55世帯に対し、実施設計に向けての「参考プラン」を提案することができた。なお、後から依頼を受けた7世帯に関しては、9月に行われる第3回みついけコミュニティワークショップを目処に、参考プランを提案する予定である。(図4-15)

2)住宅プラン個別ヒアリングに関するアンケート
住宅プラン個別ヒアリング終了後、齊木研究室では、入居予定者の反応を確認するためにアンケートを実施した。(図4-16)

住宅プラン個別ヒアリングに関するアンケート(33世帯解答)
Q1.個別ヒアリングを受けられていかがでしたか?
とても良かった:21世帯、良かった:8世帯、普通:4世帯、あまり良くなかった:0世帯

Q2.ヒアリングの結果はプランに反映されていると思われましたか?
反映されている:21世帯、少し反映されていない:12世帯、全く反映されていない:0世帯

Q3.第一次基本構想プランは気に入っていただけましたか?(今後、プランの変更は可能です)
とても満足:4世帯、満足:14世帯、普通:9世帯、あまり満足していない:5世帯
全く満足していない:1世帯

Q4.第1回目のヒアリング時に比べて、住宅・住まい方のイメージに変化はありましたか?
変化した:14世帯、少し変化した:15世帯、あまり変化していない:4世帯

Q5.ヒアリングによるプラン調整は街並みのデザインに効果的だったと思いますか?
効果的:23世帯、効果的だとは思わない:1世帯、分からない:9世帯

Q6.提示したプランはコミュニティの協定づくりに役立ちそうですか?
役立ちそう:18世帯、少し役立ちそう:13世帯、役立つとは思わない:2世帯

Q7.今後、必要とされる情報についてお答え下さい。(複数回答可)
□資金計画 □家づくりの工法・構造 □家づくりの依頼先(建築家・設計事務所・工務店)
□健康住宅 □バリアフリー住宅 □防犯住宅 □環境共生住宅 □省エネルギー住宅 □ペット共生住宅□ローコスト住宅 □住宅設備 □断熱材 □インテリアと家具 □駐車場(ガレージ・カーポート □植栽と庭づくり □収納 □キッチン

4)アンケートの結果を受けて
Q1のヒアリング全般に対する回答と、Q8の自由記入欄のコメントから、ヒアリングを行ったことに関しては一定の評価を受けていることが伺える。Q3のプランに対する満足度は、Q2のヒアリングのプランへの反映度と関連しており、Q3で「あまり満足していない」「全く満足していない」と回答した世帯の全てが、Q2で「少し反映されていない」と回答している。Q4の住宅や住まい方の変化に関する質問、Q5のまちなみのデザイン対する効果、Q6の協定づくりへの影響、に関する回答からは、住宅デザイン個別ヒアリングが、入居予定者の居住環境に対する意識の変化をもたらし、まちなみのデザインや協定づくりに対し、何らかの効果を与え得るものである、ということが期待できる。




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